韓国中銀、成長率を下方修正 今年2.6%に
半導体失速で成長エンジン失う 米中貿易リスクも

2019/1/24 18:35
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【ソウル=鈴木壮太郎】韓国銀行(中央銀行)は24日、2019年の国内総生産(GDP)成長率見通しを従来の2.7%から2.6%に下方修正した。唯一のけん引役だった半導体が失速したほか、最大の貿易相手国の中国は景気減速が鮮明で、悪材料ばかりが目立つ。民間予測はさらに厳しく、韓国経済の閉塞感はさらに強まりそうだ。

「対外環境の不確実性が高まった」。韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は24日の記者会見でこう語り、米中貿易戦争や半導体景気の悪化をリスクに挙げた。

18年は2.7%と6年ぶりの低水準となった韓国の成長率。19年はGDPの4割を占める輸出にブレーキがかかる。18年は前年比3.9%増え、過去最高を記録したが、19年は3.1%増に鈍化する。最大の理由は輸出全体の25%を占める半導体の失速だ。メモリー市況の悪化を受け、半導体の輸出は昨年12月、減少に転じた。その傾向が19年も続くためだ。

輸出で半導体に代わる成長エンジンは見当たらない。18年は機械、石油製品は好調だったが、自動車・自動車部品や鉄鋼、ディスプレー、スマートフォン、家電など従来の主力製品が総崩れし、19年も回復は見込めないからだ。

輸出の3割を占める中国経済の減速も暗い影を落とす。在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備で冷え込んだ対中関係は最悪期を脱し、対中輸出は17、18年と2ケタ成長が続いた。だが、米中貿易戦争による中国の対米輸出の減少は、部品や素材など中間財を中国に輸出する韓国企業にはマイナスだ。

一方、李氏は韓国内で強まる急激な景気悪化への懸念について「可能性は低い」と否定。市場で浮上する利下げ観測も「いまは論じる段階ではない」と一蹴した。

韓国銀行は19年上期の成長率を2.5%、下期は2.8%と予想。20年は前年比横ばいの2.6%と予測した。19年通期は下方修正しつつも、下期にかけて上向くとのシナリオを描く根拠は半導体景気の回復期待にある。李氏は「半導体市況の調整は一時的で、需要は下期以降に増加に転じると多くの専門機関が分析している」と説明した。

設備投資もサムスン電子やSKハイニックスによるメモリー投資の一巡で1.7%減った18年から一転、19年は2%増に転じると予測した。これも「半導体市況の回復で関連投資も上向く」(韓国銀行関係者)との見立てからだ。

ただ市場からは「韓国銀行の見通しは楽観的すぎる」との声が上がる。あるアナリストは「企業の設備投資が計画どおり実行されるとは限らない」と懐疑的だ。

民間シンクタンクやアナリストの多くは19年の成長率を2.4~2.5%と予想する。コンサルティング会社のEY韓英によると、同社の新年セミナーに参加した企業人211人の92%が「19年の見通しは暗い」と回答した。

文在寅(ムン・ジェイン)政権も景気浮揚に躍起だ。15日には財閥トップら経済人を大統領府に招いて規制緩和を約束した。ただ一方、23日には企業の大株主である国民年金の議決権行使を通じ「企業の間違いは正し、必ず責任を問う」とも発言。硬軟両様の姿勢に経済界は困惑する。韓国経済の先行きはみえない。

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