2019年4月22日(月)

航空機2強の大接戦、エアバスがボーイングに肉薄

自動車・機械
ヨーロッパ
北米
2019/1/25 7:00
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欧州エアバスが民間航空機の納入機数で米ボーイングに肉薄している。2018年の納入機数はエアバスが800機だったのに対し、ボーイングは806機とその差はわずか6機だった。エアバスは格安航空会社(LCC)の急成長に伴い、得意の小型機が伸びた。世界の航空機市場は今後も小型機が主流となる見通しで、ボーイングの巻き返しが注目される。

エアバスの小型機「A321neo」

ボーイングの中型機「787-10」

エアバスの18年の納入機数は17年比11%増の800機と過去最高だった。ボンバルディア(カナダ)の小型機「A220」シリーズをグループ傘下に収め、18年7月以降に同シリーズの納入機数20機分を加算して全体を押し上げた。昨年初に800機としていた納入機数の目標を達成した。

ボーイングの納入機数も6%増の806機で過去最高。小型機「737」シリーズが580機と堅調で、最新エンジンを搭載した737MAXシリーズが約半分を占めた。中型機「787」シリーズも順調だった。

13~17年まで、過去5年間の両社の納入機数の間には平均で70機程度の開きがあった。エアバスが足元で猛烈な追い上げを見せた背景には、市場ニーズに合わせて効果的に新しい航空機を投入してきた戦略がある。

世界の旅客数はアジアを中心に近年大きく伸びている。ボーイングによると、17年の世界の旅客数は44億人と過去5年で10億人増加していた。そのうち、アジアだけで増加分の半分を占め、毎年1億人の新たな旅客が生まれているという。受け皿になっているのがLCCだ。エアバスは小型機に強く、LCC台頭の潮流をうまくとらえた。

今後20年間の民間航空機市場も両社はそろって順調な拡大を見込む。ボーイングは37年に4万2730機の新しい航空機が必要になるとした。現状運航する機体数の約2倍の水準まで膨らむ。エアバスも新造機は今後20年間で3万7390機になると推計した。

ボーイングの予測をサイズ別でみると、けん引役は旅客機内部に通路が1本のナローボディー(単通路機)が3万1360機と、全体の73%を占める。通路を2本備えるワイドボディー(双通路機)は8070機の見通し。市場シェアを拡大するには、単通路機で競争力の高い機体をそろえられるかがカギを握る。

エアバスは16年1月に主力のA320シリーズで最新エンジンを搭載した「A320neo」を投入し、17年4月にはさらに座席数を増やした「A321neo」の納入を始めた。足元の納入機数の拡大は小型機がヒットしたためだ。さらに航続距離を延ばした「A321LR」もまもなく納入を始める。

小型機で攻勢をかけるエアバスに対し、ボーイングはどのような手を打つのか。航空機産業の関係者が注目するのは、ボーイングの新型機構想だ。17年のパリ国際航空ショーで「NMA(ニュー・ミッドサイズ・エアプレーン)」と呼ぶ新しい中小型機の開発計画を打ち出した。通称「797」とも言われる。

座席数で250席前後で、サイズでみると現行の767の後継機に近い。「767のサイズを737の価格帯で実現する構想のようだ」(航空機部品大手メーカー幹部)という。ボーイングのラインアップでは787と737の中間に位置し、中小型でありながら、経済性の高さで新たな市場を創出する狙いだ。

ボーイングは25年の導入を検討しており、18年秋にも正式に開発が始まると業界関係者はみていた。ただ、現段階でも開発の正式決定はない。新型機の開発は数兆円の費用がかかるとされ、市場性を慎重に見極めているようだ。

足元の世界の航空機の運航機数をみると、単通路機ではボーイングの9158機に対し、エアバスは8274機、双通路機ではボーイングが3755機でエアバスは2442機にとどまる。運航機数ベースでは民間航空機分野で歴史の長いボーイングが優勢だ。

だが、勢いにのるエアバスは、A320シリーズの品ぞろえをさらに充実させる方針で、小型機を軸にシェアを着実に高めようとしている。一方、ボーイングの737MAXは18年10月にインドネシアで墜落事故を起こした。米連邦航空局(FAA)が737MAXを対象に緊急改善通報を出し、主戦場の小型機で今後の受注への影響が懸念される。

航空機市場そのものは今、空前の活況にある。ボーイングの受注残数は約7年分の生産機数に達し、エアバスはさらに受注残が膨らんで生産が追いつかないほどだ。

ただ、世界経済のけん引役だった中国経済には陰りが見え始めた。旅客需要は景気に敏感だ。国内専門とみられていた中国メーカーに海外進出の気配もあり、航空機市場の構図ががらりと変わる可能性もある。

足元の激しいシェア争いの先に、航空機の2強はどのような針路を選ぶのか。19年は将来の競争軸を占う転換点にもなるかもしれない。(星正道)

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