2019年2月23日(土)

欧州中銀「リスク下方に」 利上げ「秋以降」維持

経済
ヨーロッパ
2019/1/24 16:34 (2019/1/25 0:50更新)
保存
共有
印刷
その他

【フランクフルト=石川潤】欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は24日開いた理事会後の記者会見で「不確実性の高まりによってリスクは下方に動いた」と述べた。英国の欧州連合(EU)離脱問題や貿易戦争が先行きの不透明感を強め、景気の減速が鮮明になっている。ただ、景気の腰折れの可能性はまだ低いとして、政策金利の水準や政策の先行き方針は変更しなかった。

記者会見する欧州中央銀行のドラギ総裁(24日、フランクフルト)=ロイター

前回の2018年12月の理事会では、成長のリスクは「下方に動きつつあるものの(上下で)おおむねバランスしている」としていたが、今回は「下方に動いた」と下方修正した。貿易戦争などによる外需の落ち込みで「成長の勢いは予想よりも弱まりそうだ」とも語った。

ECBは18年12月末で量的緩和政策を打ち切ったが、少なくとも19年夏までは政策金利を現状の水準に据え置く方針を示している。今回の理事会ではこの表現を維持した。最短で19年秋の利上げがあり得ることになるが、市場では「年内の利上げは難しい」との見方が広がっている。

「減速はどれだけ長く続くのか」。ドラギ総裁は今回の議論の中心が景気減速と高まるリスクにあったことを認めた。「新たに入手した経済データは想定よりも弱いものだった」とした。

欧州経済を取り巻く情勢は日増しに厳しくなっている。米中貿易戦争やディーゼル問題などで生産や輸出にブレーキがかかり、ドイツやイタリアでは18年7~9月に実質成長率がマイナスに転落。混乱を極める英国のEU離脱問題も追い打ちをかけている。

それでもドラギ総裁が景気後退に陥るリスクが小さいと主張するのは、失業率の低下で賃上げの動きが広がりつつあり、内需に支えられるかたちで経済成長が続いているためだ。時間差はあるものの物価にも上昇圧力がかかり、物価上昇率もやがてECBが目標とする「2%近く」に上がっていくというのがECBの描くシナリオだ。

果たしてECBの景気シナリオが正しいのか、それとも高まるリスクが見通しをひっくり返してしまうのか。ECBは新しい経済・物価見通しを公表する次回3月の理事会でもう一度、足元のリスクの高まりについて話し合う。

金融市場では、将来の金融政策の見通しを反映する長期金利がじりじりと低下している。経済や物価の見通しが厳しくなるなか、ECBの利上げに懐疑的な見方が広がっているためだ。年内に利上げを実施できたとしても、その後の利上げ余地はあまり大きくないと市場参加者はみている。

一方で、長引く超低金利が金融機関の収益を圧迫しているとの指摘も根強い。ドラギ総裁は金融機関の健全性が高まり、金融危機当時とは状況がまったく異なると強調したが、緩和の副作用についても引き続き検証していくとみられる。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報