フィリピン、18年6.2%成長に減速 インフレ重荷に

2019/1/24 15:56
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【マニラ=遠藤淳】フィリピン統計庁は24日、2018年の実質国内総生産(GDP)の伸び率が前年同期比6.2%(速報値)だったと発表した。前年より0.5ポイント低下し、2年連続で成長率が前年を下回った。食料品の供給が不足したことなどでインフレが進み、GDPの7割を占める民間消費の伸びが鈍化した。

フィリピンではコメなど食品が値上がりした(9月、マニラ)=ロイター

フィリピン政府は18年10月、成長率の目標をそれまでの7~8%から6%台後半に下げたが、達成できなかった。ドゥテルテ政権が16年6月に発足して以降、経済は減速傾向にある。大規模なインフラ整備計画を打ち出し、政府支出が増えている半面、民間消費の鈍化が続く。

背景にあるのが、インフレの進行だ。18年は1月から9カ月連続で消費者物価指数(CPI)の上昇率が拡大。3月以降は政府のインフレ目標(2~4%)の上限を超えた。9、10月には6.7%となり、現在の基準で統計を取り始めた12年以降、最も高い水準となった。

インフレが進む大きな要因は食料品の供給不足だ。特に、主食のコメは政府の輸入管理の不備から在庫が払底し、標準米の足元の平均価格は1キログラムあたり約42ペソ(約87円)と1年で1割上昇。他の食料品でも値上がりが目立った。物品税引き上げなども響き、消費を手控える動きが広がった。

18年の個人消費の伸び率は5.6%と0.3ポイント低下した。「インフレが政府目標の範囲内であれば、10月に引き下げたGDP目標の下限(6.5%)は達成できただろう」。国家経済開発庁のペルニア長官は24日の会見でこう述べた。インフラ整備に向けて政府支出の伸びは12.8%と前年より5.8ポイント拡大したが、補えなかった。

政府はインフレの抑制を急いでいる。一元管理しているコメの輸入を拡大し、民間にも開放する方針だ。中央銀行は18年に5会合連続で利上げを実施。上げ幅は計1.75%に上った。一連の政策効果でCPI上昇率は12月まで2カ月連続で低下。政府は19年には3~4%に落ち着くとの見通しを示す。

「これは拷問だ。政府はインフレを止めろ」。首都マニラでは10月に物価上昇に抗議するデモが発生。生活苦を訴える国民は依然多い。旺盛な消費を支えてきた海外出稼ぎ労働者からの送金額は18年1~11月には3.1%増と前年同期の4.0%増から低下した。利上げを受け、住宅や自動車などを購入する際のローン金利が上昇する可能性もある。個人消費が回復するかは見通せない。

政府は20年までの年間の成長率目標を7~8%に設定している。19年は5月に国会議員や全国の自治体の首長を選ぶ大規模な選挙を控えており、16年の大統領選同様、選挙関連の支出が増えて、経済を下支えする見通しだ。

ただ、インフラ整備事業は一部で遅れが見られ、政府支出が伸び悩む可能性もある。地場大手銀行バンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズのエミリオ・ネリ・エコノミストは「インフラ支出が順調に進み、食品が市場に円滑に供給されれば、政府目標を達成できるが、容易ではない」と指摘する。

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