最新の市場情報

「※」は20分以上遅延
日経平均株価(円) -- --
日経平均先物(円)
大取,19/12月 ※
23,440 +20

[PR]

豊島逸夫の金のつぶやき

フォローする

米国経済は減速か失速か、株価の分かれ道

2019/1/24 10:59
保存
共有
印刷
その他

米国の2019年の実質国内総生産(GDP)成長見通しは、トランプ米大統領が目標に据える3%台の維持が難しくなってきた。市場は2%台へ減速を織り込みつつあり、20年までに失速する可能性もちらつく。

減速なら軟着陸で済むが、失速ならハードランディング(急激な悪化)になる。議論は割れる。

足元の米経済は、18年12月の雇用統計(速報値、季節調整済み)を見る限り絶好調だ。景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数が前月に比べて31万2000人増え、事前の市場予想を上回った。しかも、注目された平均時給も前年同月比3.2%増となり、3カ月連続で3%台の伸びを示した。失業率が3.9%と上昇したが、これは労働参加率が63.1%に上昇したゆえの現象と解釈される。

しかし、雇用統計は遅行指標だ。今後の懸念材料は山積している。

米中貿易戦争や中国の経済減速、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)、米政府機関閉鎖の長期化観測、揺らぐ金融・財政政策、良識派更迭のトランプ政権内空洞化――など枚挙にいとまがない。

金融・株式市場では、米国の住宅関連業種と、エネルギー関連で債務不履行リスクの高い低格付け債(ハイイールド債)に注目が集まっている。

23日には米銀行界の「顔」ともいえるJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で米国の景気後退の可能性を示唆して話題となった。いわく「米国を船に例えれば、進行航路上に色々なブイ(浮標)が並んでいる」

航海が極めて危険だと警鐘を鳴らしたのだ。金融財政政策がリスクという。

利上げ判断が揺らぐ米連邦準備理事会(FRB)への不信、上下両院で多数派が異なる「ねじれ議会」での債務上限など財政政策の不安。これこそ市場のボラティリティー(値動きの荒さ)を高めている要因だ。23日の米国株式市場もダウ工業株30種平均がいったん300ドル高近くまで上昇したが、マイナス圏に一時沈み、171ドル高で取引を終えた。この上昇幅は、好決算だったダウ平均の採用銘柄であるIBMやユナイテッド・テクノロジーズ、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の株価上昇によるものだ。より多くの銘柄を採用する米S&P500種株価指数は「微増」にとどまる。なお、現在も続いている米企業決算では、売上高が増えても利益が伸び悩む「コスト圧力」が指摘されている。

とはいえ、米ゴールドマン・サックスは「米国の景気後退の兆候は見えない」とみている。過去の景気後退前に見られた金融システムの不安定化、緊縮財政、オイルショックなどがいまだ顕在化していない、と論じる。

減速は覚悟するが、景気後退は回避したい。これが現時点でのマーケット内の多数派が期待を込める見解であろう。

一方で、ダボス会議に出席した米著名投資家のレイ・ダリオ氏は、20年に景気が後退すると警告する。世界最大のヘッジファンド、米ブリッジウオーター・アソシエイツの創業者だが、そもそも18年のパフォーマンスが記録的に悪化したヘッジファンド業界には悲観論が目立つ。

同じ23日には、同じく米著名投資家のデイビッド・アインホーン氏が、自身が率いるグリーンライト・キャピタルの会員に、18年度の運用成績がマイナス34%だったと説明した。「昨年は年間を通して何もうまく行かなかった。割安株を狙うバリュー投資が効かなかった」と発言し、市場の注目を集めた。解約が相次ぎ、運用資産も120億ドルから25億ドルへ激減したと米メディアは報じている。

今週は、「サブプライム危機下に勝った男」として名をはせ、日本の機関投資家にも人気が高かったヘッジファンドのジョン・ポールソン氏も、運用資産の半減により今後は自己資産の運用に特化すると発表していた。これは、業界では「実質的な引退」とされる。

このような市場環境ゆえ、投資家も企業決算に高望みはしていないとみられ、期待のハードルは低めだ。

「OKならばOK」

まだ1月も終わらない時点で、早くも19年の年間株価予測の引き下げが相次ぐという異常な事態に置かれた投資家の本音だろう。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuo.toshima@toshimajibu.org

豊島逸夫が語り尽くす 金 為替 世界経済

出版 : 日経BP社
価格 :1026円(税込み)

日経電子版マネー「豊島逸夫の金のつぶやき」でおなじみの筆者による日経マネームック最新刊です。

豊島逸夫の金のつぶやきをMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップマーケットトップ