自治医大 生後寝たきりの難病、遺伝子治療で全員改善
自治医科大学は23日、生後寝たきりになる子どもの難病「芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症」の患者6人に遺伝子治療を実施し、全員で症状が改善する効果があったと発表した。2020年にも実用化に向けて厚生労働省へ医薬品の承認を申請する。研究成果を英科学誌ブレイン(電子版)に掲載した。
AADC欠損症は遺伝子異常で脳内の情報伝達物質が作れなくなる。運動機能がほぼ失われ、患者は生涯を寝たきりで過ごす場合が多い。世界で140人ほどの患者がいるとみられている。
遺伝子治療は15~17年にかけて国内で診断された4歳~19歳の6人の患者で試みた。情報伝達物質の合成に必要なAADCの遺伝子をウイルスに組み込み、脳内の運動を調節する部位に注射。2年間にわたって経過をみたところ、重症の5人は手を動かしたり首がすわった状態を維持したりできるようになった。歩行に手助けが必要だった1人も自力で走れるまで回復。話す能力も改善した。治療による大きな副作用は発生しなかった。
自治医大は18年から新たに2人の患者にも同様の治療を続けている。