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豊島逸夫の金のつぶやき

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「楽観」から「警戒」へ、米中が急転換

2019/1/23 8:56
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3連休が明けた22日の米国株式市場で、センチメント(心理)が急変していた。

17日に海外メディアが配信した「米国が関税取り下げ」、18日の「中国、6年で1兆ドルの輸入増」という2つの観測記事により、ダウ工業株30種平均は2日間で500ドルほど上昇した。

ところが米国が連休中の21日に中国が発表した2018年の国内総生産(GDP)は、実質成長率が前年比6.6%と28年ぶりの低水準だった。さらに、1月末に予定されている中国・劉鶴副首相の訪米がキャンセルされたとの情報が市場で流れ、ダウ平均は一時460ドル超安まで下落した。17~18日の株価急伸をほぼ帳消しにする下落幅だ。トランプ米大統領の「中国の経済成長は90年代以来の低水準だ。中国は現実的な取引をしたほうが良い。駆け引きのゲームは止めよ」とのツイートも市場の警戒レベルを高めた。

その後、クドロー国家経済会議委員長がテレビに生出演し、「(月末に首都ワシントンで予定する)米中通商交渉がキャンセルされたとの情報は全くの誤り」と明確に否定したことで、ダウ平均は301ドル安まで下落幅を縮めて取引を終えた。

とはいえ、市場のセンチメントはひとたび悪化すると修復は容易ではない。特に22日、スイス東部のダボスで開幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)からは、2019年の世界経済の減速を懸念する発言が頻繁に聞こえてくる。マーケットでは新鮮味はなく、市場が織り込んだはずのテーマが、再び蒸し返されている。

原油価格の下落も、じわり株価の下押し圧力となる。

最近の特徴として、報道の「見出し」に機械や人工知能(AI)が反応して売買注文を発動する傾向が再確認された感がある。たとえ報道内容の真偽が測りかねても、信ぴょう性の確認を待たずに市場は動いてしまう。たまたま、そこで上値や下値の抵抗線が突破されると、たとえその後に報道内容が否定されても、すでに新たなレンジに移行したことが事実として残る。

特に米中貿易戦争に関連する材料は、投機筋が意図的に未確認情報をはやす傾向が強い。「先に言ったもの勝ち」のごとき様相だ。

世界経済の同時減速がテーマとなる経済環境で、市場は悪材料に対して神経質になる。1つの好材料が出ても、市場のセンチメントは覆らない。

さらに米国の政府機関が一部閉鎖している影響で経済データの発表が滞り、市場の視界不良は容易に晴れない。

19年前半の利上げは無いとの見方が強まるなかで、市場の関心は米国の金融政策から財政政策への懸念にシフトしつつある。

財政政策となると、上下両院で民主党と共和党の多数派が異なる「ねじれ議会」では政治要因が直接的に影響する。市場はワシントン発の情報に一喜一憂することになろう。

トランプ大統領周辺とロシアの不透明な関係を巡る疑惑も、捜査するモラー特別検察官が最終報告書をまとめるとの報道もあり、正念場を迎えている。

大手投資銀行でも、ニューヨークからワシントンへの人事異動といった「経営資源の移転」が出始めた。

決算発表シーズンが本格化するなか、先週は米金融大手の好決算により金融株が上昇したが、再び米中関係への不安にかき消され、ゴールドマン・サックスなどの株価が反落した。今週も米国市場の大引け後も大手企業の決算発表が続くが、貿易戦争に関連する材料が勝り、決算に基づく個別株物色の影響は一過性となりそうだ。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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