日ロ首脳、6月に再会談 平和条約交渉加速へ
首相「私とプーチン氏のリーダーシップで」
【チューリヒ=羽田野主】モスクワを訪問した安倍晋三首相は22日午後(日本時間同日夜)、クレムリン(大統領府)でロシアのプーチン大統領と会談した。首相は会談後の記者発表で「6月にプーチン氏を20カ国・地域(G20)首脳会議に招き、あわせて日ロ首脳会談をする」と述べ、6月の再会談に向けて交渉を前進させる考えを表明した。
首相とプーチン氏の首脳会談は約3時間に及んだ。河野太郎外相やラブロフ外相が同席したほか、通訳だけを交えた一対一の話し合いが約50分間行われた。会談の前半でプーチン氏が首相に執務室を案内する一幕もあった。首相とプーチン氏の会談は今回で25回目。
両首脳は6月の再会談に先立ち、2月にドイツのミュンヘンで外相間と特別代表間の交渉をそれぞれ実施するよう指示を出した。首相は「交渉をさらに前進させる」と意欲を示し、「相互に受け入れ可能な解決策を見いだすための共同作業を私とプーチン氏のリーダーシップのもとで力強く進める」と語った。9月に日本で開くラグビーワールドカップ(W杯)を引き合いに「お互い全力で戦い、どちらが勝っても、ノーサイドの笛の後は互いの健闘をたたえ合いたい」とも話した。

プーチン氏は記者発表で、平和条約の締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すと明記した1956年の日ソ共同宣言に触れ「共同宣言には平和条約締結が明記されている。私たちは平和条約の締結を目指す」と述べた。
「ロシアと日本の多面的で全面的な関係の発展が必要だ。そうすることで両国の国民が受け入れ可能な解決策を生み出せる。国民によって支えられた解決策となるだろう」と指摘した。
菅義偉官房長官は23日の記者会見で「2019年の日ロ関係の素晴らしいスタートになった」と首脳会談を評価した。平和条約締結については「粘り強く交渉を続けていくのが基本だ。(首脳)会談をしてすぐ結論が出るような生易しい問題ではない」と話した。「領土問題を解決して平和条約を締結する。この基本方針のもとに引き続き粘り強く取り組んでいきたい」と強調した。