2019年4月26日(金)

地球温暖化で青森のリンゴは? 弘前大が影響を研究

2019/1/23 6:30
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地球温暖化がリンゴの生育や収穫量にどう影響するか――。弘前大学農学生命科学部の伊藤大雄教授らの研究チームは、将来の地球温暖化の環境を人工的につくった実験用ハウスで実際にリンゴを栽培して検証する研究を始めた。

実証実験ハウスで話す伊藤教授

研究期間は2018~22年度の5年間で文部科学省から約3500万円の研究資金を獲得した。

このほど農学生命科学部付属藤崎農場(青森県藤崎町)にリンゴを栽培する同じ大きさの実験用ハウス3棟が完成した。いずれも16本のリンゴの木を育成し、3棟で条件を変えて木や果実の生育状況を比較研究する。

3棟のうちC棟が21世紀後半の地球温暖化の環境を想定したハウス。二酸化炭素(CO2)の濃度を常に外気より200ppm高くし、気温は3度高く保つ。CO2濃度と気温の調整のため、換気扇、循環扇、灯油燃焼式のCO2発生器、ヒートポンプ(エアコン)を設置した。

B棟は気温はC棟と同じだが、CO2濃度は外気と同じ。換気扇、循環扇、灯油燃焼式の暖房装置を設置した。急速に気温を調整したい場合はハウスを覆う側壁のフィルムを自動で巻き上げる。

A棟はより自然環境に近い条件で栽培する。屋根の雨よけはC、B棟と同様にあるが、側壁をビニールで囲っておらず外気に直接触れる。

3棟とも将来の降水量の変化を想定し、各棟16本のうち8本は平年の降水量の1.2倍、残りの8本は0.8倍をスプリンクラーで散水する。

研究チームによると、多くの作物はCO2濃度が高くなると、作物の成長に不可欠な光合成が一時的に増大する。ただ、長期間続くと光合成の増大が低減、あるいは消滅することが分かっている。リンゴもそうなのか解明したい考え。

今世紀後半には気温が現在より3~4度上昇する可能性が大きく、リンゴへ様々な影響がありそうだという。高温は生育時期により収量増と収量減の両方に作用するが、恒常的に温度が上がったときはどうなるのか。青森のリンゴ販売にとって重要な貯蔵性は維持できるのか、しっかりと赤く着色するのかなど、高温の影響を実証的に解明するのは喫緊の課題になっている。

伊藤教授は「解明には大規模で長期間の研究が必要で、数十年先の気候変動に向き合うには今から研究しないと間に合わない。21世紀後半の環境下ではどんなふうに育ちどんな果実になるのか、初めて分かる」と語る。

(青森支局長 山田伸哉)

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