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打倒中国へ 卓球・伊藤を成長させた苦い経験
編集委員 北川和徳

2019/1/23 2:00
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全日本卓球選手権で伊藤美誠(18)が女子で史上初の2年連続3冠を達成した。多彩なショットを駆使する変幻自在なプレーぶりに、打倒中国への期待も膨らむ。

15歳でリオデジャネイロ五輪に出場。だが、こんなに強くなるとは思いもしなかった。変則的なスタイルに加えて、いちかばちかのリスクの高い難しいプレーを好む姿から、伸びしろはそんなにないと感じていた。

まったく見当外れだった。今のスタイルも変則的でリスキーだが、スピードも精度もショットの多彩さも驚くほど進化した。世界で誰もまねのできないプレーを支えるのは、安定した素早いフットワーク。難しい技術の一つ一つを磨き上げる練習を繰り返し、さらに足腰や体幹を鍛える地道なトレーニングをしっかり積んでいるとわかる。

伊藤のプレーはスピードも精度もショットの多彩さも驚くほど進化した=共同

伊藤のプレーはスピードも精度もショットの多彩さも驚くほど進化した=共同

リオの前は無邪気で怖い物知らずのコメントが目立ったが、言動もすっかり大人になった。18歳をここまで成長させた原動力は何かと想像する。

20日、シングルスも勝って3冠を達成した直後、伊藤は笑顔をあまり見せなかった。テレビのインタビューで問われると「4-0で勝つべき試合だったので」。14歳の木原美悠との決勝の第4ゲーム。9-3とリードしながら8連続でポイントを失って落とした。

私はリオ五輪団体準決勝のドイツ戦を思い出した。伊藤はこの大一番の1番手で登場し、最終ゲームを9-3からひっくり返された。福原愛と組んだダブルスも伊藤のミスが響いて逆転負け。石川佳純が2勝したが、最後の福原が惜敗し日本は3位決定戦に回った。

打倒中国が悲願だった石川と福原は中国と戦うこともできなかった。最年少の伊藤を常に気遣いかばってくれた福原が敗戦の責任を背負う形になった。最後に銅メダルを獲得して世間はドイツ戦など忘れて祝福してくれたが、あの敗戦は15歳の彼女に、忘れられない後悔と得がたい経験として刻まれたと思う。

今年の全日本では連覇を目指した15歳の張本智和が準決勝で敗れた。伊藤の幼いころからのライバル、平野美宇は4歳下の木原に完敗した。勝者の陰にはたくさんの敗北がある。苦い経験こそ次の成長への糧になる。

(2020年東京五輪まであと548日)

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