2019年3月23日(土)

観光ビッグデータ活用 宮島の混雑緩和へ(中四国ウエーブ)

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2019/1/21 18:30
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世界遺産の厳島神社がある宮島(広島県廿日市市)を舞台に、観光ビッグデータの活用に向けたプロジェクトが動き出した。NTT西日本広島支店が主導し、島内の6カ所にカメラを設置。対岸にある宮島口の主要な駐車場にはセンサーを取り付け、車や人の導線をデータとして蓄積し始めた。5月からはスマートフォンを活用し混雑度合いをリアルタイムで観光客に伝えるほか、来年1月めどに人工知能(AI)を活用した混雑予測にも乗り出す。

船乗り場がある宮島桟橋など、島内に6台のカメラが設置された

「王道ルートですぐに帰ってしまうのが課題」「混雑状況の発信は、観光客が宮島に来る前にしないと」――。昨年4月から組まれたNTT西日本広島支店を中心とするコンソーシアムの定例会議では、宮島の混雑や周遊における課題が議論されていた。参加したのは廿日市市や宮島観光協会の職員。データ分析のウフル(東京・港)や観光学を専門とする大学教授もメンバーだ。

「宮島エリアにおけるストレスフリー観光」と銘打つ同プロジェクトは、AIやあらゆるモノがネットにつながるIoT技術などで地域の課題を解決する「ひろしまサンドボックス」の一環。第1次公募で選定され、3年間で最大1億円程度が充てられる。

宮島では観光客の増加が続く。宮島観光協会によると2018年11月の来島者数は約54万人と単月で過去最多を記録。観光客の増加でにぎわいが続く一方、正月や紅葉シーズンなどの繁忙期には過度な混雑が課題となっていた。近隣駐車場やJR宮島口駅の周辺道路の渋滞も地域の悩みだ。

「観光客の導線の傾向を蓄積し、分析すれば混雑緩和につなげられるのでは」。NTT西日本広島支店の阪井勝彦氏を中心とするメンバーは宮島の商店街などの協力も得ながら、昨年10月から宮島桟橋など島内6カ所に順次カメラを設置した。

島内に設置したカメラは観光客の動きを捉え、AIが映像を分析する。年齢や性別といった属性を判断した上で、解析結果をテキストデータに変換し同社のクラウド上に集める。宮島口の駐車場に設置したセンサーは低消費電力が特徴の無線技術「LPWA」を活用。車両台数の情報などもクラウド上に上げ、情報をつき合わせる。

データの蓄積は昨年末から始まったばかりだ。阪井氏は「集めたビッグデータをストレスフリー観光にいかにつなげるかが肝だ」と話す。

混雑度合いや人の導線の傾向を混雑緩和につなげる方策として、手始めにスマートフォンを活用する。5月の10連休をめどに無料対話アプリ「LINE(ライン)」アカウントを試験的につくる。観光客が同アカウントをアプリ上で追加すると、混雑状況をリアルタイムで知ることができるといった具合だ。

観光ビッグデータの活用を、もう一段進める取り組みにも着手している。来年1月にサービス開始を目指すのが、蓄積したデータをもとにしたAIによる島内の混雑予測だ。混雑予測は同様にスマホでみられるようにするほか、島内に設置するデジタルサイネージ(電子看板)での表示もする。

AIによる予測をもとに、混雑するルートを避けた周遊ルートを個別のスマホに推奨する機能も検討している。混雑を避けたルートを周遊することはストレスが少ない観光につながる。「混雑しがちな王道ルートだけでは気付かない宮島の魅力も発見できる」と阪井氏は語る。滞在時間が伸びることで宮島での消費額が底上げされることも期待されている。

(広島支局 田口翔一朗)

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