国立がんセンターが治療体験調査へ 2万人対象に
国立がん研究センター(東京・中央)はがん患者や家族約2万2千人を対象に治療や生活の実態調査を行う。治療と仕事の両立や治療による経済的負担が暮らしに与えた影響、日常的な悩みをどのように相談したかについて重点的に尋ねて、国の今後のがん施策に反映させる。
同センターによるがん患者と家族の実態調査は2015年以来2回目で、前回より調査対象を約8千人増やす。全国のがん診療連携拠点病院177施設で13年と16年に受診した患者を無作為で抽出し、1月下旬から調査票を送付する。本人の記入が難しい場合、家族らが代理で記入できる。
今回の調査では、治療による不妊などのリスクについて事前説明が十分だったかなど医療の質に加え、治療と仕事の両立関して質問を設けた。治療のため休職・退職したかや、職場からの配慮があったかどうかなどについて尋ねる。
調査結果は同センターが公表するほか、国や都道府県に結果を伝え、18年3月に国が定めた「第3期がん対策推進基本計画」の評価に活用する。厚生労働省のがん対策推進協議会委員で、食道がんの手術をした村本高史さんは「医療は結果だけでなくプロセスが患者にとって大事。1人でも多くの人の体験を吸い上げ、対策に生かしたい」と話している。