イチロー フィールド

フォローする

イチロー杯表彰式でイチローが伝えたかったこと
スポーツライター 丹羽政善

(1/2ページ)
2019/1/21 6:30
保存
共有
印刷
その他

思ったより早く愛知県豊山町に着いたので、この辺りに自分が通っていた幼稚園があったはずだと検索して向かってみると、あるにはあったが、昔の記憶とはなんら結びつかない建物がそこにあった。もう何十年も経っている。当たり前である。

それよりも、幼稚園と目と鼻の先にイチローのメモリアルグッズが展示されている「I-fain」があって驚いた。まさかこんな位置関係だったとは。そして、イチロー杯の表彰式が行われる豊山町社会教育センターは、そこから車で5分もかからなかった。

23回目を迎えたイチロー杯(イチロー杯争奪学童軟式野球大会)の表彰式が昨年12月23日に行われた。これまで帰省のタイミングが合わず、取材に行ったのは今回が初めてだったが、真剣であると同時にイチローが子供たちからの質問コーナーで見せたあのテンションの高さは、普段は見せない一面ではなかったか。

冒頭、マイクを手にすると、「みなさん、こんにちは。シアトル・マリナーズのイチローです!」と大きな声であいさつ。会場となった社会教育センター内の体育館にはスピーカーがいくつかあったが、いずれもかなり上の方。スマートフォンの録音機能で声が拾えるか心配したのだが、杞憂に終わった。

「自分ができないと思ったら絶対にできない」

続く言葉には熱がこもっていた。

「みんなに伝えたいことは、自分ができると思ったことは、必ずできるとは限らないけれど、自分ができないと思ってしまったらそれは絶対にできない、ということ」

いろんなことがオーバーラップする。昨年3月にマリナーズと契約したが、5月に選手登録から外れた。自分の思いだけではどうにもならないことがある。それでもできないと思えば、その先はない。

「周りができないということはたくさんあるんだけれども、それでも自分が頑張っていたら、最後はできることがたくさんあります。できないことももちろんあると思うけれど、自分の中で自分の可能性を決めないでほしい」

昨年末の「イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の表彰式で、子どもたちにメダルをかけるイチロー。23回目の開催だった=共同

昨年末の「イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の表彰式で、子どもたちにメダルをかけるイチロー。23回目の開催だった=共同

イチローは安易に"必ずできる"とは言わない。さらに子供たちにこう訴える。

「人がどんな人間かっていうのは、人が見ているところで見える姿ではなくて、人の見えないところでどんな自分であるかということが、その人であるのかなという気がします。自分一人で頑張らなきゃいけないときに頑張るというのは力がいるし、難しいことなんですね。だから、常に自分に自分はどうなんだということを問うというか、そんな人間、大人になってほしい」

そこにも自らを重ね合わせているかのよう。

「僕はそれをできているとは決して言えないんだけれども、(昨年)5月頭にゲームに出られなくなってから一人でトレーニングをしたり、バッティングをしたり、ボールを投げたり、ほとんどがそういう時間だったんですね。で、そこで思ったのは、自分でこれを続けられるかどうか、続ける自信があるかどうか。手を抜くことも同時に簡単にできてしまう。でも、そこで手を抜いてしまうと、最後、シーズンを終えたときに自分が自分に負けてしまったような感覚がきっと残ると思った。今年(昨年)、それは自分でできたんじゃないかなと思っている」

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

大リーグコラム

電子版トップスポーツトップ

イチロー フィールド 一覧

フォローする
イチローウイークエンドで配られたイチロー人形

 9月14日午後5時49分、ホームの白いユニホームをまとったイチローが一塁側のダグアウトから姿を見せると、球場全体が大きな歓声に包まれた。
 2分後、ダグアウトに控えていたチームメイトらが全員出てきて、 …続き (9/16)

試合に備えた全体練習が始まる前、バットを手にゴードンと話すイチロー(右)

 ユニホームのパンツ、紺のアンダーシャツ姿のイチロー(マリナーズ会長付特別補佐)が、グローブを持ってフィールドに出てくるのは通常、午後1時半すぎ。客席には人ひとりおらず、売店の店員らがぽつりぽつりと姿 …続き (8/5)

1日の試合途中、ファンの声援にベンチから手を上げて応えるマリナーズのイチローさん=共同共同

 5月3日、ワシントン州タコマ。途中、事故渋滞にはまって、自宅から3Aのタコマ・レーニアズが本拠地とするチェイニー・スタジアムまで2時間近くかかった。午後3時過ぎ、ようやく球場に到着してざっとあたりを …続き (5/13)

ハイライト・スポーツ

[PR]