国、第二東京湾岸道路の検討会設置 自然への影響課題
東京と千葉を結ぶ「第二東京湾岸道路」の建設計画について、国土交通省が建設に向けた検討会を設置する方針を示した。東京湾奥の浅瀬・干潟「三番瀬」の埋め立て問題が障壁となり、建設構想が長年棚上げ状態だった。検討会では具体的なルートや工法が議論されるとみられるが、自然環境への影響をどう抑えるかが課題となる。

第二湾岸道路は東京都南部と千葉県湾岸地域を結ぶ地域高規格道路。石井啓一国土交通相が17日の森田建作知事との会談で、第二湾岸道路に関する検討会の設置を表明した。
第二湾岸道路は東関東自動車道より東京湾側に建設されることが想定されている。ただ、県は「建設ルートについては全くの白紙状態。早期に検討会が開始され、周辺道路の渋滞解消などの効果を検証したうえで、具体的なルートが検討されると考えている」と説明する。
東関東道や京葉道路、国道357号などの交通渋滞が慢性化しているほか、東京湾アクアライン周辺でも休日を中心に渋滞が頻発。県は渋滞解消や地域活性化、災害時の輸送能力の確保のため、国に対して湾岸地域での新たな道路ネットワークの整備を要請してきた。
建設ルートに想定される沿岸自治体は、国と県の議論の行方を注視する。浦安市の内田悦嗣市長は「検討会設置に向けたスケジュールなど詳しいことがまだ分からない。市民生活にも影響があり、まずは国や県の具体的な説明を待ちたい」という。
市川市は「第二湾岸道路は渋滞解消への貢献が期待される。ただ三番瀬の環境問題も抱えており、関係団体との調整が課題となる」(交通計画課)と指摘する。
第二湾岸道路を巡っては、建設ルートとして候補に挙がっていた三番瀬を埋め立てる計画の白紙撤回を千葉知事選で公約とした堂本暁子氏が2001年に当選。第二湾岸道路の整備自体はその後も国に要望し続けていたが、具体的な検討は棚上げになっていた。
三番瀬の保全に取り組む日本湿地ネットワーク(習志野市)の牛野くみ子共同代表は「三番瀬を通るルートに決まれば、どのような工法を採用しても環境への悪影響は避けられない。国や県は構想段階と言っているが、今後の議論をチェックしていきたい」と話している。