2019年7月18日(木)

仮想通貨 しくじり芸人たちの告白
仮想通貨のミライ(1)

仮想通貨のミライ
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2019/1/28 2:00
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億万長者を意味する「億り人(おくりびと)」まで生み出した仮想通貨。ちょうど1年前の2018年1月26日、過去最大となる約580億円相当の「NEM(ネム)」がハッキングで盗まれた。普段、スマートフォン(スマホ)で資金を動かす利用者が慌てて運営会社本社に殺到する姿は、まさに仮想通貨バブルの崩壊が始まったことを象徴していた。なぜ、一獲千金の夢にのみ込まれたのか。人々は今、何をしているのだろうか。NEMに個人資産を全額投じていたお笑い芸人の藤崎マーケット、便乗アイドル仮想通貨少女の今を追った。

■ツイッターで炎上

NEM流出事故は2018年1月26日、リアクション芸人、出川哲朗のテレビCMで有名になっていたコインチェック(東京・渋谷)で発生した。2014年に起きたマウントゴックス事件を超える過去最大の流出規模で、深夜に開かれた記者会見は炎上した。インターネットのニュースや動画で見ていた投資家も炎上する。

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コインチェックの流出事件の影響の大きさを知らしめた=トキさんのツイッターより

コインチェックの流出事件の影響の大きさを知らしめた=トキさんのツイッターより

「コインチェックの仮想通貨が全て盗まれました。貯金すべてなくなりました。仕事ください。」(2018年1月26日 23:54)

藤崎マーケットが投稿した1本のツイッターが深夜にもかかわらず一気に拡散した。インターネット上で社会的騒動に発展するきっかけとなった。

■96万人の1人

2019年1月9日午後5時、大阪市の吉本興業本社会議室。このツイッターの主を追い求め、記者は東京から大阪にやってきた。そこにいたのは藤原時(とき、34)。今は正統派漫才でなんばグランド花月にも出演し、関西で根強い人気を誇る藤崎マーケットのトキだ。12年前の2007年、ラララライ体操でブレークしたが、ほぼ全財産ネムに投資していた"しくじり芸人"として有名だ。

投資は20代~40代が中心(日本仮想通貨交換業協会)

投資は20代~40代が中心(日本仮想通貨交換業協会)

トキは仮想通貨投資家が最も多い30代。利用者350万人(現物取引)のうち3割超を占める96万人の1人だ(日本仮想通貨交換業協会調べ)。96万人という人数は"ミセスワタナベ"と呼ばれ、外国為替を動かすまでになったFX(外為証拠金)取引の愛好家を超えた。預金金利がほとんどつかない超低金利時代。個人マネーは少しでも利回り、価格上昇の見込める先を探し始めた面もある。コインチェックを買収したマネックスグループ社長、松本大は「かなり存在感のあるアセット。投機マネーがそこに流れたおかげで、資本市場はひょっとすると変に過熱せずに済んだ効果があったかもしれない」

仮想通貨の取引金額は69兆円(2017年度)。1年間で20倍、その前の年と比べると実に788倍に膨らんだ。一獲千金を夢見た大量の投資未経験者たちが仮想通貨バブルに飛び込んでいった。

2017年度、取引量は急増(日本仮想通貨交換業協会)

2017年度、取引量は急増(日本仮想通貨交換業協会)

そんな1人がトキだった。流出事故数カ月前の2017年11月、仮想通貨取引を始めた。芸人としてはネタにできるかもしれないが、経済的にはダメージが大きい。本人は今、何を思っているのか。のめり込んだ当時の状況も振り返りつつ、話を聞いた。

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