東南アジアの中銀、利上げペース減速へ 成長鈍化・株価低迷が影響

2019/1/17 18:30
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【シンガポール=中野貴司】東南アジアの中央銀行の利上げペースが2019年、減速するとの見方が強まっている。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ路線が揺らぎ追随する必要性が低下しているうえ、経済成長率の鈍化や株価低迷が利上げ継続の妨げとなるためだ。米中貿易戦争など不透明な外部要因も多く、利下げに転じる中銀が出る可能性もある。

インドネシア中央銀行は17日の金融政策決定会合で、政策金利を6%に据え置くことを決めた。ペリー総裁は通貨ルピアが対ドルで上昇傾向にあることなどを踏まえ、「政策金利はピークに近づいている」と述べた。

24日に金融政策委員会を開くマレーシア中央銀行も世界の金融市場が不透明さを増していることを踏まえ、当面様子見を続ける見通しだ。

東南アジアの中銀にとって18年は利上げラッシュの年だった。インドネシアとフィリピンの中銀の利上げ回数が5~6回に達したほか、マレーシアが1月に3年半ぶり、タイが12月に約7年ぶりの利上げを実施した。政策金利の代わりに、自国通貨の為替レートの誘導目標によって調整するシンガポール金融通貨庁(MAS)も、2回連続で金融引き締めを決めた。

19年はこうした利上げのペースが鈍る見通しだ。バンクオブアメリカ・メリルリンチの予測では、インドネシア、フィリピンの利上げ幅は18年の1.75ポイントに対し、19年はそれぞれ0.75ポイント、0.25ポイントにとどまる。

フィリピンでは物価上昇が一服し、利上げペースも減速する公算が大きい(マニラの市場)

フィリピンでは物価上昇が一服し、利上げペースも減速する公算が大きい(マニラの市場)

背景には中銀の懸念材料だった物価上昇や通貨安が一服していることがある。フィリピンでは18年12月の消費者物価指数(CPI)の上昇率が2カ月連続で前月を下回った。節目となる1ドル=1万5000ルピアを一時割り込んでいたインドネシアの通貨ルピアも直近は持ち直している。

FRBのパウエル議長は4日の講演で、利上げを一時停止する考えをにじませた。FRBは18年末時点で19年の想定利上げペースを従来の3回から2回に引き下げていたが、米国との金利差の縮小がアジア各国の通貨安や資本流出を招く懸念が一段と後退した。これまでは米金利上昇でアジアの新興国からの資金流出が加速する恐れがあり、中銀が利上げを急ぐ一因になっていた。

19年の経済成長率が伸び悩む公算が大きいことも、追加利上げをためらわせる要素となっている。貿易やサプライチェーン(供給網)を通じてつながりが深い中国経済が減速すれば、東南アジア経済への悪影響は避けられない。野村証券はマレーシア中銀が19年に利下げを決め、インドネシア中銀も19年中に利下げに転じる可能性があると見込む。

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