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台湾TSMC、2割超の減益へ 1~3月営業

iPhone・仮想通貨向け苦戦

半導体の受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の成長が踊り場を迎えている。17日、2019年1~3月期の営業利益が前年同期比2割超減るとの見通しを明らかにした。米アップルのスマートフォン(スマホ)の販売不振や仮想通貨向けの需要減が響く。今期の設備投資計画も下方修正した。19年の半導体景気に対し厳しい見方が広がりそうだ。

「高級スマホが厳しい。仮想通貨向けも落ち込む」。魏哲家・最高経営責任者(CEO)は17日に台北市内で開いた決算会見で険しい表情を見せた。

会見では19年1~3月期の売上高と営業利益率の見通しを開示した。1~3月期の売上高は前年同期比約9~10%減る。31~33%とする利益率の見通しから試算すると、営業利益は22~28%減少する見通しだ。18年10~12月期実績(前年同期比2%減)から減益率が拡大する。

TSMCは電子機器の頭脳となる半導体の受託生産を手掛ける。米アップルや米エヌビディアなど世界的な顧客と開発段階から二人三脚で関わり、業界で不可欠のインフラと称される。

18年12月期通期は期初時点では前の期比10~15%(ドルベース)の増収を見込んでいたが、結果は7%増にとどまった。今期通期の見通しは、「わずかな増収にとどまる」(何麗梅・最高財務責任者)とし、これまで公表してきた「当面は5~10%の増収を続けられる」との見通しを下方修正した。

誤算の最大の要因は、iPhone向けCPU(中央演算処理装置)の失速だ。16年から毎年生産を独占受注し成長エンジンとなってきたが、iPhoneは価格の高さがネックとなり中国市場などで販売不振に陥っている。アップルは昨年末にサプライヤーに対し、19年1~3月の生産計画を従来計画から約1割引き下げると通知した。TSMCの今回の減益見通しはこうした環境変化を反映したものだ。

TSMCは人工知能(AI)などのビッグデータ処理に使うサーバーやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連を強化してきた。ただスマホを含む「コミュニケーション」分野の売上高比率は6割近くに達し、スマホ市場の飽和の影響を強く受ける収益構造となっている。

17年後半から急成長した仮想通貨のマイニング(採掘)向けも、仮想通貨の価格下落で「需要が大きく落ち込んでいる」(魏氏)という。

需要減により在庫が膨らみ、収益性が圧迫されている。何氏は「在庫が正常な水準に戻るには19年中ごろまでかかる」と述べ、苦戦は年前半を通じて続くとの見通しを示した。100億~120億ドル(約1兆900億~1兆3000億円)としていた今期の設備投資計画も、上限を110億ドルに下方修正した。日本の半導体製造装置大手にも影響しそうだ。

また同社関係者は「経費節減に向け、これまでのような規模の人員採用は控えている」とした。

貿易摩擦も懸念材料だ。中国顧客向けの売上高比率は2割近くに達する。そのけん引役は華為技術(ファーウェイ)傘下の海思半導体(ハイシリコン)で、スマホ向けではiPhoneと同等の最先端品の売り先に成長していた。

ハイテク分野の覇権争いでファーウェイはトランプ米政権の標的となっている。魏氏は会見で「我々は全ての顧客の受託生産企業だ」と述べ、同社との関係に影響はないと強調したが、今後の見通しが読めない。

魏氏は会見で「(次世代高速通信の)『5G』やAIといった半導体のメガトレンドが迫り、中期的には5~10%成長する見通しは不変だ」と強気の姿勢も鮮明にした。ただある半導体大手幹部は「半導体の将来に自信はあるが、貿易摩擦など不透明要因が多すぎて足元が見えない」とうめく。

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