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進化した野球は面白いか データ重視の落とし穴
野球データアナリスト 岡田友輔

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2019/1/20 6:30
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まもなく動き出すプロ野球。今回は近年、ますます重視されるようになっているデータと野球の関係について思うところを語ってみたい。コーヒーブレークのつもりで読んでもらえるとうれしい。

初回だけを担う先発投手「オープナー」

日本ハムの栗山英樹監督は、オリックスから移籍してきた金子弌大(ちひろ)を「オープナー」として使う可能性を匂わせている。以前のコラムでも紹介したように、オープナーとは米大リーグで実践されるようになった新たな投手起用法から生まれた役割で、試合冒頭の短いイニングを担う投手を意味する。「初回に登板するショートリリーフ」と考えればいい。昨季の大リーグではレイズを筆頭に幾つかのチームがこの作戦を使った。

この新しい継投の考え方はデータに基づいて生まれた。投手は総じて、長いイニングより短いイニングの方が失点が減る。自分の調子を探りながら、1番から始まる相手打線に向かっていく初回はどんな投手にとっても鬼門だ。そこで発案されたのがオープナー。初回を全力で抑えるスペシャリストをつくり、打線が下位に向かう二回から従来の先発を投げさせた方がトータルの失点を抑えられる可能性が高まる、というわけだ。

日本ハムの入団記者会見でユニホーム姿を披露する金子。栗山監督(左)はオープナーでの起用もほのめかしている=共同

日本ハムの入団記者会見でユニホーム姿を披露する金子。栗山監督(左)はオープナーでの起用もほのめかしている=共同

打順の巡り合わせとの兼ね合いもある。1試合の中で投手が打者に打たれる確率は、3打席目を迎えると上がる。対戦を重ねるほど球筋を見極められ、投手には疲れも出てくるからこれは自然なことだ。一回からそれなりの投球をしていれば六回あたりに上位打線との3度目の対戦となるが、二回から登板すれば3度目の顔合わせがないまま六回を乗り越えられる可能性がある。七回までくれば、その後の継投の計算も立ちやすくなる。

大リーグではこうした"合理的"な作戦が速やかに実行に移される。日本はもう少し保守的だが、栗山監督の発言はあながち冗談とも思えない。今季からプロ野球の1軍公式戦に出場できる「出場選手登録」の人数が28から29に拡大する。つまり従来の戦力はそのままに、オープナーを加えられるようになるわけだ。

データ分析をなりわいとしている私のような立場からすれば、こうした変化は基本的に喜ばしい。しかし、ときに自問自答することがある。勝利への最短距離を模索していくデータ重視の野球は、果たして娯楽としての野球の魅力を高めているのだろうか。

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