2019年7月17日(水)

「無人の水田」へ前進 クボタ、田植え機でも自動運転

2019/1/16 16:30
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クボタは16日、自動運転で苗を植える田植え機を2020年に発売すると発表した。すでに実用化しているトラクター、コンバインと合わせて農業に使う主要な3農機で自動運転が出そろう。農家の高齢化や人手不足に対応し、ロボット技術で農作業を効率化する。国はまず20年に農家の監視のもとで無人運転を実用化する計画だ。ロボット農機が走り回る「無人の水田」の実現が近づいている。

「衛星やドローン、農作物の収穫量や気象条件といったデータを人工知能(AI)で分析し、ロボット農機が自動で作業する無人化を実現したい」。クボタの富山裕二常務執行役員は同日、京都市内で開いた事業説明会で強調した。

公開した田植え機の試作機は全地球測位システム(GPS)の位置情報を活用。作業者が乗る必要はあるが、最適な作業ルートを設定し、わずか数センチメートルの誤差で苗を植えながら自動で進む。凸凹があり、ぬかるんだ水田はまっすぐ走るのはベテラン農家でも難しい。自動運転ならアルバイトでも作業が可能だ。農機に搭載されたセンサー技術を活用して肥料の量や収穫量を調整すれば、米の味のばらつきなども抑えられるようになる。

ロボットやICT(情報通信技術)を活用し、農作業を効率化するスマート農業への期待は高い。高齢化や後継者不足で農家は17年に126万戸弱と、この10年で3割減った。一方で「担い手」と呼ばれる作付面積の広い大規模農家は増加傾向にあるが、こちらも人手不足に悩んでいる。矢野経済研究所によると、スマート農業の国内市場は24年度に387億円と17年度の3倍に増える見通しだ。

ロボット農機の普及には課題もある。一つは価格だ。17年に投入した無人運転のトラクターの販売実績は10台程度にとどまる。通常の製品より価格が5割高い点が敬遠されている。試作機の価格は現時点では非公表だが、「農家に受け入れられる水準を検討したい」(クボタ)とコストダウンを目指す。

トラクターでは無人運転を実現。田植え機とコンバインの研究開発を進めているが技術的な課題も残る。人や障害物と、農作物を見分ける技術開発だ。無人で公道を走ることもできない。

農機の世界首位は米ディアでクボタは3位だ。スマート農業では欧州企業が研究開発で先行する。クボタは700億円を投じ、自動運転やセンサー技術の研究開発拠点を堺市に設け、22年1月までに順次稼働させる。傘下の欧州農機メーカーと連携し、巻き返しを図る。

(伊藤大輔、梅国典)

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