2019年7月18日(木)

18年のビール系飲料、キリンがアサヒ猛追

2019/1/16 11:07
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ビール大手5社が16日発表した2018年のビール系飲料の課税済み出荷量は、前年に比べて2.5%減った。前年割れは14年連続で、過去最低を更新した。ビール離れに歯止めがかからず、ピークから市場の3分の1が消えた格好だ。消費者が節約志向を強めるなか、低価格な第三のビールで攻勢をかけた2位のキリンビールが首位のアサヒビールを猛追。シェアの差を1年前の半分となる3ポイントに縮めた。

キリンビールは2018年の販売で第三のビール「本麒麟」が好調だった

ビール系全体は、プライベートブランド(PB)を含めると3億9390万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と、初めて4億台を割り込んだ。分野別ではビールが1億9391万ケースと5.2%減り、発泡酒が5015万ケースと8.8%減った。一方、第三はPBを含めると1億4983万ケースと3.7%増え、5年ぶりプラスだった。

全体の出荷量を唯一増やしたのがキリン。1億3532万ケースと5.3%伸びた。シェアは34.4%と、2.6ポイント上がった。アサヒとのシェア差は7.3ポイントから3ポイントに縮んだ。差は2.8ポイントだった13年以来の小ささ。第三は36.9%と7.2ポイント上がり、17年にアサヒに明け渡した首位を奪還した。

18年3月に発売した第三のビール「本麒麟」がヒットした。ビールに近い味わいが売り。節約志向を強める消費者を取り込んだ。イオンなど流通大手のPBとして製造を請け負ったことも全体を押し上げた。

アサヒのビール系全体は1億4742万ケースと6.8%減った。シェアは37.4%と1.7ポイント下げた。3月には競合に先駆けて業務用を値上げ。業務用に強い主力ビール「スーパードライ」の販売に響き、落ち込んだ。第三はキリンの攻勢も受けた。

サントリービールのビール系全体は6289万ケースと2.8%減った。シェアは16%と、前年並みだった。家庭向けにサーバー機器を配り泡の品質を訴える販売施策が奏功した。サッポロビールのビール系全体は4471万ケースと8.6%減、シェアは11.4%と0.8ポイント下げた。17年発売の新商品の反動でビール「エビス」が減った。第三の「麦とホップ」は刷新したが販売を減らした。

19年は10月の消費増税をにらみ、キリンに対抗する第三のビールを各社が相次ぎ投入する。第三で独り勝ちしたキリンの包囲網が敷かれる。キリンはこのほど発表した19年の事業方針では大型の新商品は発表せず、本麒麟を刷新して奪還した第三のシェア首位を盤石にしていきたい考えだ。

一方、26年までに段階的にビール、発泡酒、第三で酒税が一本化されることを見据えた商品戦略も課題となる。現在77円かかるビールの酒税が下がり、発泡酒、第三を含めて約54円に統一されるのだ。減税となるビールは店頭価格が下がり、増税となる第三では上がる見通し。野村証券の藤原悟史氏は、「今年は第三に加え、ビールも強化する両面作戦が求められる」と指摘する。

ビールで48.6%のシェアを握るアサヒには追い風だ。値上げも響いて低迷する業務用の市場を活気づけようと、アサヒは今年、東京五輪・パラリンピックの国内最高位スポンサーについたことを生かし、ドライで五輪関連の販売施策を展開していく方針だ。キリンも主力の「一番搾り」をはじめビールは減った。てこ入れが急務となる。

19年の事業方針によると、ビール系の販売計画ではアサヒがキリンに1270万ケースの差をつける。推計するとシェアで約3ポイントの差は堅持する格好だが、キリンはアサヒ抜きを虎視眈々(たんたん)と狙う。各社のシェア公表は19年分からなくなるが、激しい首位攻防戦が繰り広げられるのは間違いない。

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