トランプ氏、NATO脱退を一時検討か 米報道
【ワシントン=中村亮】米紙ニューヨーク・タイムズは15日、トランプ米大統領が北大西洋条約機構(NATO)からの脱退を一時検討していたと報じた。安全保障に関して同盟関係を構築する意義が見いだせないとの考えを周辺に示したという。国際協調に後ろ向きなトランプ氏の姿勢が改めて浮き彫りになった。
同紙によると、2018年7月にブリュッセルで開かれたNATO首脳会議の頃、脱退の可能性について政府高官と議論したという。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)や当時のマティス国防長官が反対し、離脱を思いとどまった。
米メディアによると、サンダース大統領報道官は声明で「米国のNATOへの関与はとても強力だ」として軍事協力を進めていく考えを強調した。一方で「大統領は強力な防衛体制に向けて負担を分かち合うべきだと考えている」とも説明した。トランプ氏は軍事費を国内総生産(GDP)比で2%に引き上げるよう加盟国に強く要求してきた。
トランプ氏は最近もNATO軽視の言動が目立つ。米軍と協力関係にあるシリアのクルド人勢力に対して、NATO加盟国のトルコが攻撃をした場合には「経済的に打撃を与える」と警告した。米欧の亀裂が先鋭化するほど、NATOの最大の脅威となるロシアに欧州諸国を脅かす隙を与えることになりかねない。