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夢は世界最高レベルの舞台 逆輸入騎手誕生への道

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2019/1/19 6:30
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見習い騎手時代、他の厩舎スタッフと同様に、馬の世話から掃除や雑用、そして調教と全ての仕事を他のスタッフと同じように要求された。騎手だからと特別扱いをされることは一切なかったという。世界各地を転々とし、騎手免許が切れると日本の牧場で働くこともある厳しい境遇も、見習い騎手時代に培った経験があったから克服できたといえる。

シンガポール・クランジでは重賞も制覇した=藤井騎手提供

シンガポール・クランジでは重賞も制覇した=藤井騎手提供

オーストラリアを手始めに、シンガポール、韓国や英国、日本など13カ国を回り、騎乗してきた競馬場は60カ所を超える。そんな藤井騎手が強く感じているのは、日本の競馬の素晴らしさだという。

「ジャパンカップの日も、地方馬ハッピーグリン(北海道・道営)の応援で東京競馬場に行っていました。発走が近づくと、ターフビジョンにプロモーション映像が流れ、ファンを盛り上げる演出。また、それに応える日本のファンは、とにかく熱狂的。日本の競馬は馬のレベル、賞金の高さ、熱心なファンの応援のどれをとっても世界最高レベルにあると思います。上を目指すのであれば、日本を拠点にやりたいと思うのは当然」と日本での騎乗に思いをはせる。

胸には「チャレンジ」の文字

6度目となった今回の挑戦も、背中を押してくれたのは家族の存在だった。一昨年の5回目の挑戦に失敗したときには、競馬を離れて牧場で働きながら、今後のことを思い悩む日々が続いた。そんなときにオーストラリアでの騎乗と、6度目のJRA試験の受験を妻が後押ししてくれたのである。

藤井騎手のブルゾンの胸には「チャレンジ」と刺しゅうされている

藤井騎手のブルゾンの胸には「チャレンジ」と刺しゅうされている

「家族の協力と、オーストラリア関係者の理解があって今回の挑戦ができています。オーストラリアの免許がなければ、日本での短期免許の騎乗もかなわない。レース勘を鈍らせず、そのうえで筆記試験にも備えないといけないですから。異国の地で、ただ机に向かっているだけでは、身につかないことが多いですね」。何度も騎手試験を受験してきた経験から、日本に身を置いて日本の競馬に触れ、競馬法規や常識問題などに取り組む重要性を感じているという。

藤井騎手の着ていた特注のブルゾンには「藤井チャレンジ」の文字が刺しゅうされている。「自分にプレッシャーをかけて、前を向いていくために、この文字を入れています。残された時間、挑戦する時間も限られています。試験に合格したら? 日本の馬に騎乗して、オーストラリアやシンガポールのレースで優勝してみたいですね。もちろん、日本のビッグレースでも勝ちたいですよ」と今後の"夢"を口にした。

藤井騎手は現在、栗東の矢作芳人厩舎で研修を続けながら、技術試験や面接に備えている。2次試験は1月30日、合格発表は2月12日。夢の舞台への第一歩を踏み出せるよう願わずにはいられない。

(ラジオNIKKEIアナウンサー 木和田篤)

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