2019年5月26日(日)

EVよりスポーツ車 北米自動車ショーの特殊事情

2019/1/15 16:55
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【デトロイト=中山修志、白石武志】14日に開幕した北米国際自動車ショーでスポーツ車の存在感が際立った。トヨタ自動車が17年ぶりに復活させる「スープラ」を初公開。米フォード・モーターも高性能モデルを発表した。燃料安や米政権による燃費規制の緩和方針が重なるなか、世界的な潮流である電動化など環境技術は鳴りを潜めている。

「スープラ」の復活を発表したトヨタ自動車の豊田章男社長(米デトロイト)

トヨタの豊田章男社長は同日の記者会見で「伝説が戻ってきた」と語り、「スープラ」の復活を宣言した。新モデルは後輪駆動の2ドアクーペで、排気量3リットルの直列6気筒エンジンを搭載。13年に提携した独BMWとの共同開発の第1弾で、主にトヨタが企画とデザイン、BMWが設計と開発を担った。

豊田社長は「多目的スポーツ車(SUV)もすばらしいが、後輪駆動のスポーツ車に勝るものはない」と訴えた。米国での希望小売価格は4万9990ドル(約540万円)から。日本では今春に発売する。

スープラは1978年に日本名「セリカXX(ダブルエックス)」の北米向けの車名として登場し、日本でも86年から販売を始めた。ただ累計販売は約30万台と大衆車「カローラ」の米国での1年間の販売台数にとどまり、環境意識の高まりなどを受けて2002年に生産を休止していた。

フォードは記者会見の目玉にスポーツ車「マスタング」の高性能モデル「シェルビーGT500」を据えた。排気量5.2リットル、出力も700馬力超と同社の市販スポーツ車で過去最大という。

各社がデトロイトで披露した新型車はスポーツ車に加え、SUVなど大型車が目立った。米ゼネラル・モーターズは高級車ブランド「キャデラック」で3列シートのSUV「XT6」を発表。欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズも新型ピックアップトラック「RAMヘビーデューティー」を公開した。

盛り上がっているようにみえる北米ショーだが、実はアウディ、BMW、ダイムラーの独高級車3社が出展を見送った。会期中に発表される新型車は約30車種で、前回から半減する見込みだ。

日本や欧州のショーが電動化を代表とする次世代技術の披露の場となるなかで、大型車が注目される北米は特殊な市場になりつつある。シェールオイル増産などを背景に燃料価格が抑えられていることに加え、トランプ米政権がオバマ政権時代の燃費規制を緩める方針を示していることが、今の大型車復活の追い風になっている。

調査会社のマークラインズによると、18年の米新車販売台数は前年比0.3%増の1727万4250台と横ばいだった。SUVやピックアップトラックなど「小型トラック」が全体の7割に迫り、燃費が重視されるセダンなど「乗用車」に分類される車種は低迷している。トヨタの主力ハイブリッド車「プリウス」の18年の販売台数は8万7590台と17年比19%減となり、従来のエコカーが売れにくい市場になりつつある。

北米ショーではグローバルで次世代エコカーの本命と見込まれている電気自動車(EV)関連の発表は少なく、日産自動車がセダン型のコンセプトEV「IMs」を披露した程度。米国が世界のトレンドからかけ離れた特殊な立ち位置にあるなかで日本メーカーも対応に苦慮し、目先の手堅いマーケティングに終始した格好だ。

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