2019年5月23日(木)

虐待の傷も受け止めて 児童養護施設で育つ子供たち
ドキュメント日本

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2019/1/20 15:34
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 親と暮らせない子供のための児童養護施設。生活を再建しながら、社会へ出て自立するまでの長い道のりを支える。虐待、貧困、親との死別……。支援を必要とする子供は減らず、里親制度へのシフトが進んでも施設の役割はなくならない。ある養護施設の日常を取材した。(松浦奈美)

職員(中)と一緒に昼食をとる子供たち(東京都小平市の二葉むさしが丘学園)

職員(中)と一緒に昼食をとる子供たち(東京都小平市の二葉むさしが丘学園)

1月上旬の平日正午すぎ、東京都小平市の住宅街を始業式を終えた子供たちが帰ってきた。カタカタというランドセルの音と「ただいまー」の声が「二葉むさしが丘学園」の寮に響く。この日の昼食は鶏肉の中華風丼と春雨のサラダが食卓に並んだ。

夕食までは自由時間だ。上級生はリビングの机で宿題をこなし、小さい子供たちはおもちゃで遊ぶ。1つの部屋で寝食を共にするのは幼児から高校生まで最大8人。施設全体では2~18歳の約60人が暮らす。入所期間は平均5年、10年を超える子もいる。

台所や風呂の間取りは一般家庭に近く、個室をのぞくと、二段ベッドやおもちゃが並ぶ。入浴後のチャンネル争いはきょうだいが少し多い家族の雰囲気。幼児は職員が添い寝して寝かしつける。施設長の菅原淳史さん(53)は「なるべく家庭に近い生活ができるよう工夫している」。

寮のリビングで宿題をする児童

寮のリビングで宿題をする児童

子供たちは毎月お小遣いをもらい、お金のやりくりを学ぶ。小遣いは月額で幼児1100円~高校生5500円。1月には1人数千円のお年玉も。駄菓子や文房具など、基本的には好きなものを買うことができるが、財源は都や国が支給する生活費。お小遣いとはいえ、1円単位まで使い道を精算する。

高校生になると、ほとんどの子供が携帯電話を持ちたがる。月々の代金を支払える貯蓄はあるか、アルバイトをする必要があるのかなど、ここでも施設職員と話し合いながらお金の使い方を学ぶ。施設にいながら携帯電話を持つことで、正しい使い方を知る機会にもなるという。

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