グーグル日本法人、申告漏れ35億円 所得を海外移転
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米グーグルの日本法人が東京国税局の税務調査を受けて2015年12月期に約35億円の申告漏れを指摘されていたことが15日、関係者の話で分かった。日本法人は事実上、広告事業を担いながら広告料は税率の低いシンガポール法人に支払われており、国税局は日本法人の税負担が軽減されていたと認定した。
申告漏れを指摘されたのは「グーグル合同会社」(東京・港)。追徴税額は過少申告加算税などを含めて約10億円とみられる。指摘は16年ごろで、同社は修正申告に応じ16年12月期についても法人所得を上乗せして申告したという。
GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)に代表される巨大IT企業を巡っては、世界中で利益を生み出し、その利益を低税率国に集める租税回避への批判が根強い。欧州を中心に課税強化の動きが活発になっている。
関係者によると、グーグル合同会社はシンガポール法人の業務を支援する形で、日本国内の広告主への営業活動を行っている。広告主からの広告料はシンガポール法人に支払われて、グーグル合同会社は経費に8%が上乗せされた金額を報酬としてシンガポール法人から受け取っていた。
東京国税局は、グーグル合同会社への報酬が広告料に連動していないと指摘。経費に上乗せする方法で報酬が低く抑えられ、所得がシンガポールに移転していたと判断したとみられる。
グーグル側は15日、「税務上のやり取りの一環で修正申告を行った。不正行為、租税回避を行ったものではなく、日本の国内の法律に沿って納税していく」などとコメントした。