2019年2月23日(土)

平和条約交渉、日ロ外相が初協議 北方領土の溝深く
ラブロフ氏、2島返還巡りけん制

政治
ヨーロッパ
2019/1/14 19:26 (2019/1/14 22:50更新)
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【モスクワ=甲原潤之介】ロシア訪問中の河野太郎外相は14日午前(日本時間同日午後)、モスクワでラブロフ外相と会談した。昨年12月に安倍晋三首相とプーチン大統領が平和条約締結に向けた枠組みとして両外相を交渉責任者に指名して以降、初めての協議になる。月内に予定される首脳会談を前に進展を探ったが、ラブロフ氏は北方領土をめぐり厳しい姿勢を示した。

14日、モスクワでロシアのラブロフ外相(左手前から2人目)との協議に臨む河野外相(右手前)=ロイター

会談の冒頭、河野氏は「平和条約について集中的に議論を進めたい」と強調。「日ロの間には大変大きな潜在力がある。それを最大限引き出す日ロ関係をつくらなければならない」と述べた。

ラブロフ氏は会談後の記者会見で「南クリール諸島(北方領土)の主権はロシアに移ったというのが基本的な立場だ。それを日本側が認めることなしに交渉の前進は難しい」との見解を示した。「日本の国内法で『北方領土』と規定されているのは受け入れられない」とも述べた。

1956年の日ソ共同宣言が、米軍に日本国内の施設などの使用を許可する日米安全保障条約締結の前だったことも指摘。「当時からの変化を考慮しなければならない」と話した。

河野氏はこの後、記者団の質問に答え、ラブロフ外相がロシアの主権を認めるよう求めたことについて「日本の主張を明確に伝えた。一致していない所ももちろんあるが、双方の協議のなかで一致する部分を見つけていかなければならない」と述べた。外務省関係者は会談後「日本の法的立場には変更がない」と話した。

日ロ両首脳は2018年11月の会談で、歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すと明記した56年宣言を基礎に平和条約交渉を加速させる方針で合意し、12月の会談で両外相を交渉責任者に指名した。14日の会談には交渉担当者に任命された森健良外務審議官とモルグロフ外務次官も同席した。

日本側は北方領土のうち、まずは56年宣言に記述がある歯舞群島と色丹島の主権の返還を目指すとみられる。首相は4日の記者会見で北方領土に暮らすロシア住民について「日本に帰属が変わることについて納得していただくことも必要だ」と指摘した。

だが、ロシア側はこうした期待を強める日本側の姿勢にも反発を強めている。ラブロフ氏は14日の会談の冒頭で「合意をゆがめることなく、一方的な発言で状況をあおることなしに進めることでも同意したと思う」とけん制。記者会見でも「領土の帰属変更を前提にした安倍首相の発言は受け入れがたい」と語った。

首相とプーチン氏は16年、北方領土で共同経済活動を展開して平和条約につなげようとしたが、特別な制度をつくる作業は難航している。56年宣言を基礎とした交渉として仕切り直し、協議の加速を図る。

日ロ両国は15日も引き続き交渉担当者の森氏とモルグロフ氏で実務交渉を続ける。

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