五輪招致疑惑 「コンサル料」の正当性がカギに
2020年東京五輪招致を巡る贈収賄疑惑で、フランスの裁判所が日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長への捜査を始めた。問題とされたのは、当時の国際オリンピック委員会(IOC)委員につながる会社への「コンサルタント料」。支払いに正当な根拠があったと立証できるかどうかが、疑いを晴らすカギになりそうだ。

捜査開始を受け、IOCは11日、倫理委員会を開催。テレビ会議で竹田会長から事情を聴いた。協議内容などは明かしていないが、「仏当局と緊密に連携し、状況を注視する」としている。
JOCは12日、竹田会長が15日に東京都内で記者会見すると発表した。改めて正当性を主張するとみられる。
疑惑は15年、仏捜査当局が、セネガル出身で国際陸上競技連盟元会長のラミン・ディアク氏に絡むドーピング問題をめぐる資金の流れを追うなかで浮上した。
東京大会の招致委員会は13年、シンガポールのコンサル会社にコンサル料として計約2億3千万円を送金。コンサル会社の代表者はディアク氏の息子と親密な関係にあるとされ、仏捜査当局はコンサル料の一部が当時IOC委員だったディアク氏側への賄賂となった疑いがあると判断したもようだ。
13年には20年大会の開催都市を決めるIOC総会があり、陸上界やアフリカ諸国のとりまとめ役と見なされたディアク氏を「みな味方に付けたいと思っていた」(当時の招致関係者)という。
仏当局の捜査の動きが明らかになった16年5月、JOCは弁護士や公認会計士らによる調査チームを設置。国内外34人から事情を聴くなどし、同年9月、コンサル会社にはロビー活動などの業務実態があり、コンサル料に違法性はないとする報告書を公表した。
ただ、調査でコンサル会社の代表者やディアク氏、その息子からは話を聞くことができず、調査チームも「強制捜査権のないチームの限界」と認めていた。
仏検察当局はその後も捜査を続け、今回、裁判所による「予審」と呼ばれる捜査に移ったことが明らかになった。
仏裁判所は18年12月に竹田会長から事情聴取。他の関係者の聴取などを進め、裁判を開くかどうか判断するとみられる。関係者が複数国にまたがることなどから捜査は長期化する可能性もある。