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タブレットでプログラミング学ぶ 「スクラッチ」が進化

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

2020年度に小学校で必修化されるプログラミング教育で、現在最も使われている学習ツール「スクラッチ」の最新版が公開された。作成したプログラムをスマートフォン(スマホ)で動かせるようになり、外部の機器などとの連携をしやすくした。小学校での必修化を控え、民間のプログラミング教育サービスも増えており、教育ビジネスの拡大にもつながりそうだ。

2日に公開されたのは「3.0版」。動作基盤を変更し、タブレット端末でプログラミング作業ができるようにした。さらに作成したプログラムを「プロジェクト」と呼ぶが、これをスマホで動かせるようにした。これまでの2.0版は米アドビシステムズの動画再生技術「フラッシュ」を利用するため、パソコンが必要だった。

スクラッチの日本語化などに初期から関わっている青山学院大学社会情報学部の阿部和広客員教授は「作成したものをスマホで動かせると、多くの人に見てもらいやすい。他人に見てもらえる、遊んでもらえるというのは制作のモチベーションにつながる」とタブレットやスマホ対応の狙いを解説する。

幼い頃からスマホに触れている小学生にとってパソコンよりもタブレットの方が抵抗感なく使える。総務省が進める「次世代学校ICT(情報通信技術)環境」の整備で、NTTコミュニケーションズや凸版印刷などが東京都小金井市の全小中学校にタブレットを導入するための実証実験を始めるなど、今後、教育現場ではタブレットの導入が広がる見通しだ。

また3.0版では、中核部分と拡張機能を明確に分けるようになった。これに伴い、機能拡張が容易になった。デンマークのレゴが提供する組み立てロボットキット「マインドストーム」や、英公共放送のBBCが開発した学習用マイコンボード「マイクロビット」などの機器との連携が可能になる。

米アマゾン・ドット・コムのクラウドサービス、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の「音声合成」、米グーグルの「翻訳」といったサービスを利用する拡張機能を提供しており、これらとの連携もできる。

スクラッチは米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボのミッチェル・レズニック教授が主導して開発が進められている。プログラミングに必要な要素を「ブロック」と呼ぶ部品とし、そのブロックの組み合わせで直感的にプログラムを作成できるのが特長だ。プログラムと、画像や音など必要な要素をまとめてゲームなどとして動作するソフトやアプリのようなものを「プロジェクト」と呼んでいる。

作成したプロジェクトはMITが提供するクラウドサービスに保存されるので、個々のパソコンなどにソフトをインストールせずに使える点も特長だ。クラウドサービスを通じて、ほかのユーザーとプロジェクトを共有することも可能だ。

16年にNHKが放映を始めたプログラミング教育番組「Why!?プログラミング」でも題材として使われている。

20年度のプログラミング教育必修化をはじめとして、STEM(科学、技術、工学、数学)教育に対する関心が高まっている。誰でも手軽にプログラミングに触れられる、スクラッチのようなツールの重要性はますます高まる。

現在プログラミング教育の現場で最も利用されているスクラッチだが、今回のアップデートではスマホでのプログラミング作業には対応しなかった。現状ではスマホの小さい画面で編集する手法が確立されていないためだ。

ただ、阿部氏は「スマホでプロジェクトを作成したりプログラミングしたりできるほうが望ましい」と話す。パソコンやタブレットに比べ普及率が高く、手軽に利用できるためだ。パソコンなどを別途用意しなければならないとなると取り組める子どもの数も減ってしまう。スマホ対応の拡大は今後の課題になりそうだ。

(企業報道部 北郷達郎)

[日経産業新聞 2019年1月15日付]

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