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海外から「異質」に映る日本の刑事司法制度

日産自動車のカルロス・ゴーン元会長(64)を巡る一連の事件で、日本の刑事司法制度が海外からクローズアップされた。弁護士が同席できないなど取り調べ環境や勾留の運用などを「人権軽視」と批判的な論調に捉えるケースが目立つ。海外と比べれば、グローバル化の潮流との隔たりが浮き彫りになっており、制度の見直しを求める声も出ている。

「共産主義の中国の出来事か? いや、資本主義の日本だ」(米紙ウォール・ストリート・ジャーナル)、「弁護士の立ち会いなしでの取り調べが毎日続く」(仏紙ルモンド電子版)。事件以降、海外メディアは日本の刑事司法制度を痛烈に批判する。

特に強い批判を浴びているのは取り調べに弁護士の同席を認めていない点だ。法務省の資料によると、日米英仏独伊韓の7カ国のうち、立ち会いできないのは日本だけ。特にフランスは「弁護人立ち会いか弁護人を呼び出したうえでなければ取り調べ不可」という。

米国では捜査官は尋問に先立ち、黙秘権や弁護士立ち会いを求める権利などを容疑者に告げなければならない。弁護士立ち会いは世界の潮流ともいえ、家族などの接見が禁じられた状況も含め海外メディアには「人権軽視」と映るようだ。フランス刑事法に詳しい神奈川大の白取祐司教授(刑事訴訟法)は「弁護士同席を認めない点の批判は甘んじて受けなければならない」と指摘する。

矛先は勾留にも向けられている。ゴーン元会長の勾留は2カ月弱に及び、長期の身体拘束で自白を迫る捜査手法への批判がある。日本では起訴後、弁護側が保釈を求めても、検察側が「証拠隠滅の恐れ」などを理由に反対し、裁判所が保釈を認めないケースが多い。

司法統計によると、17年に起訴から判決までに保釈された割合は約3割にとどまり、特に否認すれば起訴後も、勾留が長引く傾向にある。それが長期化の大きな要因ともなっている。

一方、東京地検の久木元伸次席検事はこれまでの定例記者会見で「他国の制度が自国と違うからといって簡単に批判するのはいかがなものか」と反論。東京高検検事長や最高裁判事を務めた甲斐中辰夫弁護士は「地位を問わず、犯罪の疑いがあれば必要に応じて身柄を拘束し、取り調べを実施してきた。安易にねじ曲げることがあってはならない」と強調する。

刑事司法制度に詳しい秋田真志弁護士は「国際基準に照らして異常であることを世界に広く知らしめた。犯罪の成否とは別に、グローバルスタンダードに合った刑事司法に見直すきっかけにすべきだ」と話している。

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日産自動車が選択を迫られている。
内田誠新社長のもと、業績をどう立て直すのか、筆頭株主である仏ルノーとの関係をどう再構築するのか。

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