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真冬こそ気をつけたい ランナーの体調管理

ランニングインストラクター 斉藤太郎

心機一転という気持ちで新しい年をスタートされたランナーが多いことと思います。昨年11月末あたりの大きな目標レースを経て、この1月には2本目、中には3本目のフルマラソンを予定されている方が多いのではないでしょうか。新鮮な決意の一方で、シーズン中盤にさしかかり、走り込みと連戦により疲労が出てくる時期でもあります。気温のせいなのか、練習によるものなのか。原因のはっきりしない体調不良に悩む人が出てくるのもこの季節の特徴です。

レースへの出場が多い場合

大会に隔週ペースで出場する方も珍しくありません。疲労をため込まない工夫が必要です。記録を狙うレースと、練習として出場するレースとを使い分けてみましょう。記録は気にせず、負荷をかけることを目的としたレース参加を試してみてください。

レースに頻繁に出る場合は、練習レースを重ねながら本命のレースでピークを迎えられるように仕上げる

たとえば、前の日はあえてゆっくりと長く距離を踏みます。脚がズシーンと重たく感じるような状態にします。翌日は疲労を抱えながらも周りのランナーと競いながらレースを走り切ります。レースの高揚感を利用して、疲れていてもどうにか押し通す。2日間をかけて、レース終盤に生かせるようスタミナを養う練習になります。

押さえておきたい意外なポイント。練習量を落として疲労を抜き、力を全て出し切れる体調でレースに臨むとします。そこでは高いパフォーマンスを発揮できますが、その後は調子の低下を招きます。練習量を減らす調整をしてそこそこの記録を出せたとしても、その先は徐々に体調が低下して、一番狙っていたレースで失敗してしまう可能性が出てきます。

一方で、疲れが残っていて高いパフォーマンスで走る準備が整っていない体調で臨むレースは、ペースが上がらず苦しい走りになりますが、ダメージはそれほど深くなりません。レースに頻繁に出場する場合は、こういった練習レースを重ねながら本命のレースでコンディションのピークを迎えられるように仕上げていくのです。

嫌いになるまで頑張らない

ランニングと距離をおきたい、いわゆる「ランニングブルー」に遭遇する方もまれにいます。走ることを嫌いになりたくないからガツガツ走り込むことはあえてしないという方を知っています。重苦しい気持ちや、体調不良に陥ったときの選択肢としては以下のものがあります。

・思い切って休む
・気分転換に買い物や観光などでウオーキング。見慣れない景色の中でのんびりと脚を動かす
・ハーフからフルマラソンのペースで5キロ走る。脱だらだらペースのランニング

5キロのランニングは普段よりも短め、集中が途切れない範囲の距離や時間でスパッと快調なペースで走ります。呼吸が適度に上がることで刺激が入り、スッキリさわやかな気持ちになることがあります。

ほかに、好きなコース、得意なメニューに取り組むのもよいでしょう。休日には起きたらまずシューズを履いて外に出ることです。重苦しい一日にしないための先制パンチをしましょう。というのも「やっぱり走ればよかった」という後悔はしばしばありますが、「やっぱり走らなければよかった」という後悔はあまり経験したことがないからです。

体調管理のヒント

もっとも寒さの厳しい季節です。故障とは別に、風邪を引いた、なんとなくだるい、微熱が続く、腸炎、気管支炎などの体調不良の相談が例年、年末年始を経たころに増えてきます。

長時間の持続運動に耐えられる体力を持つ長距離ランナーですが、一方で抵抗力は意外と高くないといわれます。理由の1つ目は体脂肪が少ないこと、2つ目はトレーニングによる換気が多く、この季節は乾燥した空気を一般の方よりも換気していることが挙げられます。

自分の抵抗力を控えめに見積もり、いたわってあげたいものだ

ランナーは鉄人ではありません。自分の抵抗力を控えめに見積もり、いたわってあげたいものです。そのための方法をいくつか紹介します。

就寝時

温かくして眠ること。そのためには体中を巡る血液を冷やさないことです。就寝の際には頭から首が布団から出ていますが、首筋には大きな血管があります。首から顎にかけての部分を覆うようにタオルをかけると体が温まり、楽に眠ることができます。

走り込みで呼吸に大きく関わっている背中の筋肉が張ってくると、寝苦しくなることがあります。鼻がつまるときは鼻腔(びくう)拡張テープを貼るのもおすすめです。

ランニング時

最後まで心地よく走れるウエアとギアを選びましょう。重い綿素材のスエットで走る方はほとんど見なくなりましたが、汗を吸って重くなる素材は、初めは温かくても、かいた汗で冷えてしまうので避けるべきです。

・頭や耳=ニットの帽子またはイヤーウオーマー
・首=ネックウオーマー
・ゆったり走る際の上半身=はっ水性の高いインナーシャツ+軽くて風を遮るジャケット
・ハイペースで走る際の上半身=Tシャツ、アームウオーマー、体幹部を防寒するベスト
・下半身=タイツの上にトランクスやハーフパンツ、軽い生地のブレーカー
・手=グローブ

こうしたスタイルが一般ランナーの定番となってきています。冷たくて乾いた空気が肌に直に当たると、一気に体温を奪われます。車のボディーにコーティングをすることがありますが、同様に皮膚の上にさらに皮膜となるものをつくってあげることで、風が直接皮膚に当たることを防ぎ、保温できます。お風呂上がりなどにローションやクリームを塗るとよいでしょう。

寒い中で長く走るときにはワセリンも塗るとよいでしょう。部位としては足首、膝、太もも、手の甲、手首、肘、お腹、肩、首筋などです。体の末端や、血管が浮き出てくるような部位に膜をつくるのがポイントです。

さいとう・たろう 1974年生まれ。国学院久我山高―早大。リクルートRCコーチ時代にシドニー五輪代表選手を指導。2002年からNPO法人ニッポンランナーズ(千葉県佐倉市)ヘッドコーチ。走り方、歩き方、ストレッチ法など体の動きのツボを押さえたうえでの指導に定評がある。300人を超える会員を指導するかたわら、国際サッカー連盟(FIFA)ランニングインストラクターとして、各国のレフェリーにも走り方を講習している。「骨盤、肩甲骨、姿勢」の3要素を重視しており、その頭の文字をとった「こけし走り」を提唱。著書に「こけし走り」(池田書店)、「42.195キロ トレーニング編」(フリースペース)、「みんなのマラソン練習365」(ベースボール・マガジン社)、「ランニングと栄養の科学」(新星出版社)など。

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