2019年3月21日(木)

韓国文政権、経済運営なお強気
「雇用、期待に応えられず」

朝鮮半島
2019/1/10 18:51
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【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日の年頭記者会見で、冒頭演説の大半を経済問題に割いた。分配重視の経済政策で成果が出ていないことを認める一方、方針転換は否定した。南北融和は米朝の非核化協議の膠着で停滞し、対日関係は悪化の一途だ。内憂外患は強まるばかりで、文氏は厳しい政権運営を迫られそうだ。

10日、ソウルの韓国大統領府での年頭記者会見で報道陣の質問に応じる文在寅大統領=共同

「雇用で国民の期待に応えられなかった」。文氏は就任以来、最も苦しかったことは何かと問われ、こう答えた。雇用創出を看板政策に掲げたが、2018年の就業者の伸びはリーマン・ショック以来初めて前年比で10万人を切った。自動車や造船など主力製造業が不振だった。「政府の経済政策への信頼を低下させた」と認めた。

ただ、所得を増やして景気を浮揚させる分配重視の政策は変えないと強調した。「今年は政府の経済政策が正しい方向だと体感できるようにする」と宣言した。

17年5月の政権発足時に3%超だった成長率は、19年に2%台半ばに低下する見通し。会見では、政策修正を否定する自信はどこから来るのかと問われた文氏が「社会の二極化を解消しないと持続的な成長はできない」と気色ばむ一幕もあった。

支持率は低迷している。韓国ギャラップの18年12月21日の世論調査では、不支持が46%と初めて支持(45%)を上回った。経済政策への不信を払拭しようと、文氏は会見で人工知能(AI)や自動運転、エコカーなど次世代産業の育成に関する説明に時間を割いた。

これまで高支持率を支えてきた南北融和への国民の熱気も冷めつつある。

「私たちが朝鮮半島問題の主役になった」。文氏は韓国主導で北朝鮮を非核化に向かわせたと功績を誇示した。「近く開かれる米朝再会談と金正恩(キム・ジョンウン)委員長のソウル訪問は、朝鮮半島の平和を強固にする新たな転換点になる」と語った。

だが、文氏が約束した金正恩氏の18年内のソウル訪問は実現せず、南北融和も最終的には米朝次第であることが露呈した。米国との非核化交渉が進まず、制裁緩和という実利を得られないことにいらだつ金正恩氏が文氏との約束をあっさり破った形だ。

韓国大統領府の不祥事も政権を揺さぶった。政府高官や公務員の不正を監視する特別監察班が民間人まで監視していた疑惑が浮上。野党は任鍾晰(イム・ジョンソク)前大統領秘書室長らを追及した。文氏は任氏の退任を予定より早めるなど対応に追われた。

次の一手が見えないなか、対日関係は急速に悪化している。元徴用工問題で韓国に協議を要請した日本について、文氏は「日本の指導者が政治攻防の材料にし、未来志向的な関係まで損なおうとすることは望ましくない」と語気を強めた。

19年は日本統治時代に起きた独立運動「三・一運動」から100年にあたる。文氏は演説で「過去100年、韓国は植民地支配と独裁から脱却し、国民主権の独立した民主共和国をつくった」と述べた。

文氏は昨年7月、三・一運動の100年記念行事を北朝鮮と共同開催する意向を示し、9月の平壌共同宣言にも明記した。日韓関係の専門家は「歴史問題を抱える日本との懸案解決で韓国が譲歩する余地は狭まっている」と指摘する。日本への強硬姿勢を政権浮揚のカードに使う可能性は否定できない。

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