2019年6月18日(火)

忘れられる権利「域外適用できず」、EU最高裁法務官
ネット上の個人情報めぐり

2019/1/10 18:33
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【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の最高裁にあたるEU司法裁判所の法務官は10日、インターネット上の検索エンジンから個人データを消去するよう個人が要求できる「忘れられる権利」について、EU域外には原則として適用できないとの見解を示した。EU域内で認めている同権利を巡って仏当局が世界中で適用できると主張し、米グーグルと法廷で争っているが、仏当局の主張を退けた格好だ。

法務官は10日、忘れられる権利がEU28カ国の国境を越えて効力を持つとの法解釈には「賛成できない」との見解を示した。法務官の判断はEU司法裁としての正式な判決ではないが、過去のケースでは最終的なEU司法裁の判決と同じ場合が多いとされている。

「忘れられる権利」はEU司法裁が2014年の判決で認めた権利。EU域内では、プライバシーを侵害する個人情報へのリンクの削除をグーグルなど検索エンジン会社へ個人が要請できる。18年5月にEUが施行した新たな個人情報の保護ルール「一般データ保護規則(GDPR)」でもこの権利が明文化された。

仏当局とグーグルの裁判では、グーグルが欧州域外でも削除要請に応じなければならないかが争点となっている。フランスの個人情報保護機関は国境のないネット上で「忘れられる権利」を守るため、欧州域外での検索結果についても、グーグルに欧州域内と同様の削除を強制できると主張してきた。

一方、グーグルは各国は「自国が選んだ方法で表現の自由とプライバシーのバランスをとることが認められるべきだ」と反論。仏当局側の主張を認めれば、独裁国による「検閲」も正当化してしまうことになりかねないと批判していた。

グーグルもEUの「忘れられる権利」を守るため、14年以降、個人などからの要請を受けて計100万件以上を削除。欧州のネット利用者が検索した場合は、欧州域外のサイトでも削除されたリンクを表示できないようにするなどの対応を進めてきた。しかし、EU域外の利用者が欧州域外のサイトで検索すれば削除対象となったリンクは表示される。

このため仏当局は15年、世界のどこからアクセスがあった場合でも、「忘れられる権利」に基づく削除を適用すべきだとグーグルに命令し、16年には10万ユーロ(1300万円)の罰金の支払いを命じた。これを不服としたグーグルはフランス行政訴訟の最終審である仏国務院に上訴。17年7月に仏国務院がEU司法裁に介入を求めていた。

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