サウジ、原油埋蔵量2685億バレルに上方改定 アラムコの企業価値アピール

2019/1/10 8:50
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【リヤド=岐部秀光】サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は9日、首都リヤドで記者会見し、2017年末の同国の原油埋蔵量が従来の推定よりも多い2685億バレルだったと発表した。推定埋蔵量の上方改定で、ムハンマド皇太子が「2兆ドル(約220兆円)」と指摘する国営石油会社サウジアラムコの企業価値を裏付ける狙いがある。

記者会見するサウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相(9日、リヤド)=ロイター

埋蔵量の推計は米国企業がアラムコの主要油田を対象に実施した。サウジはアラムコを1980年代に国有化して以来、埋蔵量を約2610億バレルとしてきたが、市場では「過大な評価」と疑問視する声もあった。

ファリハ氏はサウジの原油生産コストが1バレルあたり4ドル程度であると明らかにした。米国のシェール企業の生産コストは1バレルあたり30~50ドル程度とされており、サウジが圧倒的な価格競争力を持つことを強調した。

天然ガスの17年末の推定埋蔵量も約325兆立方フィートで、従来の推定よりも多く存在することが確認されたという。

ムハンマド皇太子はアラムコの内外市場での新規株式公開(IPO)を自身が進める経済改革の柱と位置づけた。世界の民営化史上で最大案件となるはずだった計画は主要な取引所との上場ルールをめぐる協議が難航し、棚上げに追い込まれたとみられている。

それでも政府がアラムコの企業価値の評価にこだわるのは、IPOであてにした資金が入らなくなった分を借り入れでまかなう必要に迫られているからだ。改革の推進役を担う政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は国際銀行団から多額の借り入れを始めたが、有利な条件での調達を支えるのはアラムコの信用力にほかならない。

18年10月にトルコのサウジ総領事館で起きた著名記者ジャマル・カショギ氏の殺害事件は世界に衝撃をあたえ、投資家のサウジ離れをもたらした。急増する若者たちに将来の働き口を提供するための「脱石油」改革の必要性は切実で、政府は透明性のアピールに躍起となっている。

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