2019年3月20日(水)

加工用乳価据え置き 19年度、TPPで輸入品警戒

サービス・食品
小売り・外食
2019/1/9 19:15
保存
共有
印刷
その他

ホクレン農業協同組合連合会(札幌市)は9日、バターやチーズなど加工向け生乳の2019年度の販売価格を据え置くことで大手・中堅乳業15社と合意したと発表した。11カ国からなる環太平洋経済連携協定(TPP11)などの影響で輸入品の増加が見込まれ、値上げは国産乳製品の需要減退につながるとして乳業メーカー側がホクレンの値上げ要求を退けた。

初妊牛価格が高騰するなど酪農家の経営コストは上昇している

初妊牛価格が高騰するなど酪農家の経営コストは上昇している

北海道の生乳は8割が加工向けに使われ、全国に出回るバターや生クリームの9割を北海道産が占める。実質的にホクレンが原料を独占しており、この乳価が全国指標となる。19年度は価格が最も低いチーズ向けが焦点だった。飲用向けは12月末に関東の指定団体が合意した価格と同様1キロ4円の引き上げで決着。4月から適用する。

17年度にチーズの消費量が過去最高となるなど需要は好調。ただ、需要とは裏腹に生産量は伸び悩んでいる。18年度の生乳生産量は比較的生産が好調な北海道でも前年度比0.6%増の393万9千トンの見通し。ホクレンは乳価引き上げで酪農家の増産意欲を喚起したいと価格引き上げを要求していた。

一方、乳業メーカー側は価格引き上げが一段の需要減につながるとして抵抗した。この10年間でバター向けの乳価は13%、チーズ向け(ソフトタイプ)は5割上昇。乳業各社は昨春に家庭用チーズ、一昨年にバターの値上げを実施したが「チーズは一部で買い控えが起きている」(乳業大手)など製品値上げの影響が出ているという。飲用向けを引き上げとする一方、加工向けは据え置くことで双方が折り合った。

昨年12月末に発効したTPP11や2月に発効予定の日欧経済連携協定(EPA)により今後、欧州やオセアニア産の安価なチーズが国内市場に流入する。関税引き下げは段階的に行われるため当面の影響は限定的だが市場では「乳価の上昇が続けばチーズを中心に国産原料が使われなくなる可能性がある」(専門商社)との声が多い。

過去の乳価引き上げで北海道の酪農家の所得は改善している。18年度のホクレンの酪農家への総支払乳代(プール乳価)は指定団体が発足して以来初の1キロ100円を突破する見込み。JAグループ北海道が掲げた酪農家の所得目標である「生乳1キロあたり30円以上」も達成できる見通しだ。

 ▼乳価交渉 明治や雪印メグミルクなど乳業各社と各地域の生産者団体が原則年1回、生産コストや消費動向などを参考にして相対で値決めする。生乳は用途に応じて取引価格が異なる。飲用牛乳向けが最も高く、バターなど加工品向けが安い。北海道の生乳の約8割が加工向けに使われるため、ホクレンの値決めが加工向け乳価の指標となる。消費地に近い地域は牛乳向けの比率が高く、中でも出荷が多い関東の値決めが指標になる。国内の生乳生産量は年間730万トン前後。このうち飲用向けはおおむね6割、加工向けが4割を占める。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報