2019年2月22日(金)

EUの統合強化にブレーキも 5月に欧州議会選

ヨーロッパ
2019/1/9 19:05
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2019年の欧州政治にとって、最重要イベントのひとつが5月23~26日の欧州議会選挙だ。「反欧州連合(EU)」を掲げるポピュリズム(大衆迎合主義)政党がどこまで勢力を拡大するかが焦点となる。中道右派・左派を柱とする二大政党制が崩れて分極化が進めば、英国の離脱で揺らぐ欧州統合の遠心力が強まる懸念がある。

会見するイタリアのサルビーニ副首相(2018年12月21日、ローマ)=AP

「欧州議会選は、エリートと金融界が牛耳る欧州か、働く国民のための欧州かを選ぶ住民投票だ。我々は多数派として勝利する」。イタリアの極右「同盟」党首で、18年6月に「五つ星運動」とポピュリスト連立政権を発足させたサルビーニ副首相は、「反EU」を欧州議会選の選挙運動の柱に据える。

ねらうのは「反移民」など主張が似通うEU域内の右派ポピュリズム勢力の結集だ。フランスの極右「国民連合」やドイツの極右「ドイツのための選択肢(AfD)」などとの連携を探る。

欧州議会はEU法案の承認を担うなどEU政治の重要な役割を担うほか、選挙結果は10月末の任期切れとともに退任するユンケル欧州委員長の後任選びにも大きな影響を及ぼす。

これまでは中道右派の欧州人民党(EPP)と中道左派の欧州社会・進歩連盟(S&D)が合計で議席数の過半を占め、EU懐疑派を押さえ込んできた。しかし域内ではポピュリズム勢力の躍進が続いており、5月の選挙で両党の合計議席数が過半を下回り、二大政党による支配が崩れる可能性が大きい。

欧州議会は英離脱で定数が751議席から705議席に減少する。政治専門メディア「ポリティコ」欧州版がまとめた18年12月17日の選挙予測によると、EPP(186議席)とS&D(130議席)は合計で316議席で半数に満たない。全議席に占める比率は現状の54%から45%へ落ち込む。

一方、イタリアの同盟やフランスの国民連合などが参加するEU懐疑主義の会派「国家と自由の欧州(ENL)」は28議席増の63議席で、第3勢力のリベラル系会派を猛追している。

同じくEU懐疑派で、ドイツのAfDやイタリアの五つ星運動などが参加する「自由と直接民主主義のヨーロッパ」も45議席を獲得する見込み。両会派が結集すれば二大政党に肩を並べる規模に達する可能性もあり、EUの統合強化を阻む可能性がある。

反政権デモの拡大で改革路線の修正を迫られたマクロン仏大統領にとっても、欧州議会選挙は求心力の立て直しをかけた中間選挙の意味合いを持つ。14年の前回の欧州議会選では極右の国民戦線(現国民連合)がフランスで第1党を獲得。自身が立ち上げた「共和国前進」がどこまで議席を獲得できるかが焦点だ。

メルケル独首相にとっては10~11月に相次ぐ旧東独の3州での州議会選挙が21年まで首相にとどまり、EUの要として存在感を発揮し続けられるかどうかの試金石となる。いずれも極右AfDが伸長してきた地域であるだけに、後任でメルケル路線の継承者とされるクランプカレンバウアー氏にとっては正念場となる。首相の退陣時期の前倒しを避けられるかが焦点となりそうだ。(森本学)

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