毎勤統計誤り、影響広がる 労働保険を過少支給か
賃金や労働時間を示す毎月勤労統計の調査手法が誤っていた問題で、同統計と関連する制度に影響が広がっている。雇用・労災保険の給付水準は、同統計で示す賃金によって変わる。これまで公表していた数値が実態より低かった場合、本来より少なく給付していた人がいるとみられる。
毎月勤労統計は国の基礎的な統計で、労働保険の給付ほか、雇用者報酬などの算出にも使われる。調査手法の誤りは2004年から行われていた。厚労省は労働保険の影響や人数を調べ、過少給付されていた人への支払いを検討している。
雇用保険の基本手当は離職した人が生活に困らず再就職活動に取り組めるよう支給する。離職する前の賃金の50~80%を支給するルールで賃金が低かった人ほど率が高い。毎月勤労統計の平均給与額の変化により、手当の増減に影響が出る。
17年度は平均給与額が前年度比0.57%上昇したとして、昨年8月から30歳以上45歳未満の人で1日あたりの手当の上限額を40円引き上げた。給付日数は離職理由などによって最大360日。
仕事で病気になったり負傷したりした際に払われる労災保険について、平均給与額が大きく変動した場合は給付水準を変えることになっている。
毎月勤労統計は賃金などの動向を厚労省が都道府県を通じて調べ、公表している。従業員500人以上の事業所は全て調べることになっているが、東京都分について全数の3分の1程度を抽出して調査していた。一方で、全数調査に近づくよう自動的に処理するプログラムも使っていた。