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慢心はなかったか 海外G1ゼロ勝という警告

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2019/1/12 6:30
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アーモンドアイも実は同じ状況にある。同馬はシルクレーシングの所有で500口(1口6万円)に分けて出資が募られた。既に7億2022万円を稼いでおり、1口当たり約144万円に達している。関係者は既に3月30日のドバイ国際競走参戦を表明し、国内の前哨戦を経ずに直行する見通しだ。問題はドバイ・ターフ(1800メートル)とドバイ・シーマクラシック(2410メートル)のどちらを選択するか。賞金は同額(1着360万ドル=約3億8888万円)で、距離はどちらでも問題はなく、クリストフ・ルメール騎手(39)の他の騎乗馬との兼ね合いが進路を決めそうだ。彼が乗る有力馬の1頭であるレイデオロが、ドバイと日程の重なる2000メートルの大阪杯に進むと、ルメールが一方に乗れなくなる。この点から、レイデオロはドバイ・シーマクラシック、アーモンドアイはドバイ・ターフという進路が考えられる。

アーモンドアイに斤量との戦い

凱旋門賞を目指す馬が、3月にドバイで走るのは正しい選択だろうか? 欧州の主力はまだシーズンオフである。昨年、凱旋門賞連覇を飾ったエネイブル(牝5)は体調が整わず、復帰が9月にずれ込んだ。これは例外としても、古馬なら健康な場合でも、始動は早くて5月初旬前後だ。だが、アーモンドアイもレイデオロもクラブ法人所有である。運営側は出資者の視線を意識し、欧州遠征が視野に入る馬ならなおさら、「どこかで稼いでおこう」という心理が働くのは想像に難くない。凱旋門賞との連動性が薄いドバイに向かうのも、「大人の事情」ゆえなのだ。

ジャパンカップを制し、4つのG1を制覇したアーモンドアイ(左)。今年は3月のドバイから始動する予定だ=共同

ジャパンカップを制し、4つのG1を制覇したアーモンドアイ(左)。今年は3月のドバイから始動する予定だ=共同

こうした問題と別に、日本馬、特に古馬には斤量という難敵が待ち受ける。国内G1では、斤量が重い天皇賞でさえ牡馬58キロ、牝馬56キロ(秋は3歳馬2キロ減)。ジャパンカップはさらに1キロ軽く、昨年のアーモンドアイは53キロで出走した。だが、凱旋門賞は牡馬59.5キロ、牝馬58キロ(3歳馬3キロ減)である。昨年は55キロまでしか経験していない同馬が、凱旋門賞では58キロを背負う。ドバイ国際競走は55キロ、香港国際競走は55.5キロだから、アジア圏にいては経験できない厳しい条件となる。凱旋門賞の行われるパリのロンシャン競馬場は直線に坂もなく、コース形態も日本に近いが、それでも日本馬は力を要する芝に苦戦してきた。軽い馬場での瞬発力を誇るアーモンドアイが、58キロを背負って、日本で見せたような戦いができるのか。最大の不安である。

エルコンドルパサーが凱旋門賞で2着に入ってから、今年で20年。現地に適応すべく4月からフランスに腰を据えた決断自体が壮挙と言えた。日本のレースの高額賞金を捨てるのは容易な決断ではないからだ。だが、国内では後に「短期滞在で行って勝つのが本当の強さ」といった議論も出た。改めてこの20年を振り返れば、甘い考えだったと言うべきだろう。13年までに2着4回を数え、「そろそろ順番」と思いきや、最近3年は連続で2桁着順の惨敗。ハードルが低かったはずのドバイや香港でも勝てていない。「日本馬は強い」という認識が慢心の産物なのか、実体的根拠があるのか。今年は厳しく問われる年になる。

(野元賢一)

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