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慢心はなかったか 海外G1ゼロ勝という警告

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2019/1/12 6:30
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さらに変化を後押ししそうな材料が、昨年8月28日に中国広東省に開場した従化区トレーニングセンター(CTC)だ。広州から車で約1時間、シャティンから約4時間の位置にあり、約660の馬房と芝、全天候の2本の馬場、さらに全長1100メートルの芝の坂路をも備える。香港は従来、日本の多くの地方競馬と同様、競馬場で調教も行っていたため、頭数確保と調教のやり方に制約があった。既にCTCとシャティンを往来する馬もいるため衛生条件が変わり、検疫制度の厳格なオーストラリアの馬が香港国際競走に参加しないという負の側面も表面化している。とは言え、芝の坂路という日本にもない調教施設が、今後の香港馬をどう変えるのか興味深い。

クラブ法人所有馬と遠征経費

一方の日本馬。今年最初の遠征は1月26日に米国ガルフストリームパーク(フロリダ州)で行われる新設G1、ペガサスワールドカップ・ターフ招待ステークス(芝約1900メートル)のアエロリット(牝5、美浦・菊沢隆徳厩舎)に決まった。同レースは高額の出走登録料で話題を集めたペガサスワールドカップ(G1、ダート1800メートル)の前座競走で、総賞金700万ドル(約7億5600万円)、1着賞金300万ドル(約3億2400万円)だが、登録料も50万ドル(約5400万円)と高額だ。昨年、日本産馬として初めて米国のダートG1を勝ったハーツクライ産駒のヨシダ(牡5)も参戦する見通し。

昨年10月の毎日王冠を快勝したアエロリット。1月下旬に米国の新設G1に挑む=JRA提供

昨年10月の毎日王冠を快勝したアエロリット。1月下旬に米国の新設G1に挑む=JRA提供

アエロリットは40口のクラブ法人(サンデーレーシング)所有馬で、通算獲得賞金は3億3802万円。1口当たり約845万円となる。登録料は1口当たり135万円で、輸送費なども加えれば相当な負担だが、あえて向かうのは、左回りコースを求めた結果だろう。国内で1~3月にアエロリットの適性に合ったレースがない事情もある。興味深いチャレンジと言えるが、遠征に関しては個人所有馬なら生じない問題が起きてくる。

出資者の合意形成である。クラブ法人所有馬の場合、現実に資金を出して支えているのは出資会員だが、彼らは競馬施行者が規定する「馬主」ではない。馬主登録には資産要件や暴力団との関係がないなどの点を審査でクリアにする必要があるからだ(ただし、馬主登録のある人が、出資する場合もある)。結局、クラブ所有馬の多くは、主に生産者などを母体とする「運営側」の意思が進路を左右する。だが、非招待競走に遠征する場合、負担は出資者に回ってくるから、意思決定する側と経費の出し手が異なるという現象が起きる。

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