/

五輪チーム強化に難題も 森保監督の大切な1年

サッカージャーナリスト 大住良之

今回は1年半後に迫った2020年東京五輪に挑むチームの道のりを展望する。

東京五輪のサッカー競技は、総合開会式(7月24日)の2日前、7月22日に始まり、閉会式(8月9日)前日の8日まで行われる。男子の出場資格は1997年1月1日以降生まれの者。ただし五輪本大会では3人までこの年齢制限を超えた選手(オーバーエージ)を使うことができる。

A代表と重なるほとんどの日程

五輪に向けてのアジア予選は、アジアサッカー連盟(AFC)主催の「U-23(23歳以下)アジア選手権」(20年1月、タイ)で、五輪開催国である日本以外の上位3チームに出場権が与えられる。目標は五輪での金メダルと宣言する森保一監督としては、この大会は何としても優勝したいところ。そしてその自信を五輪本大会につなげたいと考えていることだろう。そのためにも、今年1年間の強化が非常に重要になる。

20年1月8日に開幕する「U-23アジア選手権」に向けての「壮行試合」は19年12月28日に長崎県諫早市で行われる国際親善試合だ。それに先だって、今年は主に5回の活動が計画されている。3月に来年の「U-23アジア選手権」の予選がミャンマーで開催され、マカオ、東ティモール、そしてミャンマーと対戦する。5月末から6月にかけては昨年も参加した仏トゥーロンでの大会に参加する。そして9月と10月に短期間の海外遠征を行い、11月は17日に広島で「仕上げ」の国際大会を戦う。

アジアカップ初戦のトルクメニスタン戦で戦況を見つめる森保監督=共同

悩みのひとつは、ほとんどの日程がA代表と重なり、監督を兼務する森保氏が常に同行するのが難しそうなことだ。A代表も今年9月には22年ワールドカップのアジア2次予選が始まることになっており、決して気は抜けない。昨年の森保監督不在時は横内昭展コーチが監督代行を務めたが、今年も同じようにしていくのだろうか。

昨年、「東京五輪世代」の「U-21日本代表」はすべて国外で21試合を戦い、11勝4分け6敗、得点33、失点24の成績を残した。8月にインドネシアで行われたアジア大会は、「1クラブ1選手のみ」という制限付きのメンバー構成ながら、決勝ではオーバーエージも総動員した韓国のU-23代表に大奮戦、1-2で敗れたものの銀メダルを獲得した。

昨年の試合から「主力」と思われる選手を挙げると、GKは小島亨介(早大)、DFは板倉滉(仙台、今季は未定)、立田悠悟(清水)、杉岡大暉(湘南)、橋岡大樹(浦和)、MFは三好康児(札幌→横浜FM)、藤谷壮(神戸)、遠藤渓太(横浜FM)、松本泰志(広島)、岩崎悠人(京都→札幌)、FWは小川航基(磐田)、前田大然(松本)、旗手怜央(順天大)、そして上田綺世(法大)らとなる。

このなかで昨年急激に存在感を増したのが上田だ。鹿島のジュニアユースから鹿島学園高に進み、大学に入ってから急成長した身長180センチのストライカー。昨年はトゥーロンのポルトガル戦で2得点したのを皮切りにチーム最多の8ゴールを記録。スピードを生かした突破と決定力でエース格にのし上がった。

本番は18人、厳しい選考に

五輪チームの強化の難しい問題は、招集されてもクラブには選手を出す義務がないことだ。Jリーグは五輪期間中は日程を中断することになりそうだが、供出義務のない欧州のクラブとは、個別交渉ということになる。

現在アラブ首長国連邦(UAE)でアジアカップを戦っている日本代表には、DF冨安健洋(シントトロイデン)、MF堂安律(フローニンゲン)という2人の98年生まれがいる。当然、彼らは東京五輪でも中心となるべき存在だが、五輪への出場を許可されるかどうかは、ぎりぎりまでわからないだろう。さらには、01年生まれで、19歳になったばかりで東京五輪を迎えるFW久保建英(横浜FM)も、18歳を迎える今年6月には欧州への移籍が予想され、五輪出場は不透明だ。

9日のトルクメニスタン戦でゴールを決める堂安(中)。東京五輪でも中心となるべき存在だが、五輪出場許可はぎりぎりまでわからないだろう=共同

五輪の本大会にはもうひとつの難しい問題がある。準決勝以降に進むとすると、ほぼ中2日で6試合を戦うことになるのだが、選手登録はわずか18人に限られていることだ。「U-23アジア選手権」の選手登録が23人であることを考えると、仮にここでチームが固まっていたとしても、そこから5人もの選手を落とさなければならない。さらに3人の「オーバーエージ枠」をフル活用することを考えれば、「U-23アジア選手権」用のチームとはまったく違った考え方での選手選考が必要になる。

21、22歳という年代は、何かをきっかけに急成長を見せる選手が必ずいる。そうした選手を見落とさないためにも「大枠」を確保しつつ、「18人での大会」に備えて、チームとしてはいくつかのフォーメーションに対応できる能力、個人としては複数のポジションをこなせる能力を磨く必要がある。

20年8月8日、新国立競技場での決勝戦の舞台に立てるかどうかは、今年19年の選手たちの努力とチームづくりの成否にかかっている。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン