毎勤調査ミス、問題に触れず公表 厚労省
賃金や労働時間を調べる毎月勤労統計の調査が誤った手法で行われていた問題で厚生労働省は8日、問題を把握した後も誤りに触れず、正しい統計として公表していたことを明らかにした。事務方が原因の調査を始めてから、問題の公表までにも相当な日数を要しており、ずさんな対応に批判が集まりそうだ。
根本匠厚労相は8日の閣議後記者会見で調査手法の誤りを公表し、事務方からの報告が昨年12月20日だったと説明。事務方は同月中旬には問題を把握し、調査を始めていたことを明らかにした。
根本氏に報告した翌日の21日に厚労省は毎月勤労統計の10月分の確報値を公表した。だが資料の中で調査手法の誤りについては触れていなかった。同省は注釈をつけるといった対応は「思い至らなかった」としている。
毎月勤労統計は全国3万超の事業所を対象に都道府県を通じて実施している。従業員5~499人の事業所は抽出して調べ、同500人以上の事業所は全数調査することになっている。だが都内の500人以上の事業所約1400カ所については、全数調査すべきところを500カ所程度を抽出して調べていた。
厚労省は9日に発表する昨年11月分の速報値は抽出データを全数調査に近づける加工をした上で公表する。資料には誤った手法について調査中との注釈をつける。