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株価、為替と景気の相互作用(十字路)

株価は景気変動を反映する一方、株価の変動が景気に影響する面もある。資産効果による個人消費への影響に加えて、近年、米国では株価変動が企業の資金調達を通じて景気に影響する面も強くなっている。株価が上昇して企業の時価総額が増大すると信用力が増し、社債発行などによる資金調達が容易になる。

調達された資金の一部は設備投資に回り、景気を刺激し、さらなる株価上昇をもたらす。また、資金は自社株買いや企業買収にも使われて株式需給が改善し、株価を押し上げる。金融緩和の中で、株価上昇と景気拡大の相互循環作用、いわゆるフィードバック・ループが長く続いた。

しかし、米国での量的緩和の終了や段階的利上げにより、株価と景気のフィードバック・ループが逆回転し始めたようだ。米中経済摩擦や米国の政治不安などは、その回転を速める要因にすぎないのかもしれない。

日本では、米国と比べて株価の資産効果が弱いとみられる。また、企業の社債発行などによる資金調達や、自社株買いなどもそれほど活発ではない。このため、株価と景気のフィードバック・ループは米国ほど強くないだろう。

ただ、日本では、円安になると景気が改善し、投資家や企業が海外投資に積極的になってさらに円安が進みやすい。ここには、為替と景気のフィードバック・ループが存在するとみられる。

世界景気の鈍化懸念や米長期金利低下などを背景にした円高により、日本の為替と景気のフィードバック・ループも逆回転し始めたようだ。

株価、為替と景気のフィードバック・ループを再度上向きに転じさせるには、大胆な金融緩和や財政刺激策が必要だろう。しかし、各国にそうした政策発動の余地は限られているようだ。

(野村アセットマネジメント 運用調査本部 チーフ・ストラテジスト 榊茂樹)

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