2019年3月26日(火)

EU、東南ア2カ国へ経済制裁検討 対応に違い

東南アジア
2019/1/7 16:06
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【ヤンゴン=新田裕一、ハノイ=大西智也】欧州連合(EU)がミャンマー、カンボジアへの関税優遇措置の停止を検討し始めた。両国政府の人権侵害が理由だ。この経済制裁発動を回避するためカンボジアは旧最大野党の活動再開を認める方針を決めた。一方、ミャンマーは隣国バングラデシュに逃れたイスラム系少数民族ロヒンギャの帰還を実現できず、有効な対応をとれないでいる。

プノンペン郊外の縫製工場で働く女性たち(2017年8月)=AP

カンボジア国民議会(下院)は2018年12月13日、同年7月の総選挙(下院選)を前に解散させられた旧最大野党カンボジア救国党(CNRP)の関係者の活動再開を認める法案を可決した。上院も18年12月25日に同法案を可決した。この下院選は事実上の野党不在で、フン・セン首相のカンボジア人民党(CPP)が議席を独占した。

今回の措置の背後に政府の意思があるのは明白だ。旧救国党の党首だったケム・ソカ氏ら主要幹部の活動再開も許可されるかどうかは不明だ。

一方、ミャンマーはEUの批判に対処できていない。人権状況の改善を国際社会に訴えるため約70万人のロヒンギャ難民の帰還を18年11月に始める計画だったが、実現していない。迫害の再開を恐れ、難民が帰還を拒んでいるからだ。ミャンマー政府は引き続きロヒンギャを自国民と認めない立場で、帰国後の安全は保証されない。

代わりに規制緩和拡大で外資誘致を目指す。2日にはミャンマー計画・財務省が保険分野への外資参入を認める通達を出した。18年11月には同国中央銀行が、進出済みの外国銀行に対し、国内企業に対する融資、送金などの金融サービスの提供を解禁すると発表した。

これと前後し、ミャンマー政府は外資誘致を担当する投資・対外経済関係省を新設した。各省庁間の調整役となる。トップには民間企業の大型投資案件を審査する同国投資委員会のタウン・トゥン議長が就いた。同氏はスー・チー氏側近だ。

EUは後発発展途上国である両国の産品を輸入する際の関税を原則、免除してきた。だが、18年10月にはこの優遇措置の停止検討を発表した。マルムストローム欧州委員(通商担当)は「我々の貿易政策は(人権尊重や民主主義などの)価値観が基本だ」と述べた。

カンボジアに対し19年10月ごろまでに結論を出す見通し。ミャンマーには調査団を派遣済みだ。

EU加盟国はカンボジア、ミャンマーの主力産品である衣料品の主要な輸出先だ。衣料品はカンボジアの国内総生産(GDP)の2割弱を稼ぎ、全輸出の約7割を占める主力産業だ。ミャンマーからEUへの輸出額は17年が15億ユーロ(約1900億円)で11年の約9倍に増え、8割を縫製品が占める。優遇措置の停止は両国の経済を揺るがす。

ミャンマーの縫製業は日本企業など外資が支えるが、新規投資は鈍っている。ミャンマー政府統計によると、18年11月までの1年間に認可された外国投資は33億ドル(約3600億円)で、前年の同期間より6割少ない。EUは同年12月、ミャンマー国軍幹部7人を制裁対象に追加したと発表。同国の投資先としてのイメージが悪化している。

カンボジア、ミャンマーでそれぞれ最低賃金が大幅に引き上げられ、生産コストが上昇していることも生産拠点としての両国の魅力を損ねる。

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