米中首脳、再会談を模索 7日から次官級協議

2019/1/6 16:15
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【ワシントン=河浪武史、北京=原田逸策】米中両国は北京で7日から貿易問題を巡る次官級協議を開く。米中高官が直接協議するのは2018年12月の首脳会談以降で初めて。両国はともに自国景気の下振れを警戒しており、関税合戦の打開へ成果を模索する。米中交渉筋によると、トランプ大統領と習近平(シー・ジンピン)国家主席は、19年前半にも再会談する方向で調整を始めた。

米はゲリッシュ米通商代表部(USTR)次席代表、マルパス財務次官(国際担当)らが訪中する。中国は18年12月の首脳会談時に1兆2千億ドル(約130兆円)の米国製品を追加購入する輸入拡大案を示した。今回の次官級協議では具体的な品目などの詰めに入る。

米中交渉筋によると、次官級協議で進展があれば1月中に中国の劉鶴副首相が訪米し、知的財産権など両国の対立が目立つ分野で踏み込んで交渉する。さらに一定の合意が得られれば、習氏が19年前半にも訪米し、トランプ氏と再会談することでも調整を開始したという。習氏が訪米すれば、貿易戦争に突入する前の17年4月以来となる。

トランプ氏と習氏は18年12月29日に電話協議しており、その際に首脳レベルでの再会談を議論した可能性がある。中国側はディール(取引)を重視するトランプ氏とのトップ会談で貿易戦争を打開したい考えだ。トランプ氏も6日、ホワイトハウスで記者団に「中国との交渉は極めて順調だ」などと述べた。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、トランプ氏が1月下旬の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で中国の王岐山国家副主席と会談する可能性があると報じた。中国側はトランプ氏との直接交渉で局面打開を狙う戦略とみられる。

米中は19年3月1日までの90日間で貿易問題の解決策を探るとしている。両国が打開案で合意できなければ、米国は2000億ドル分の中国製品に課す関税の比率を10%から25%に引き上げると表明している。貿易戦争が激化すれば、世界的に調整局面に入った金融資本市場のさらなる逆風になるリスクがある。

両国首脳はともに自国景気の下振れを警戒し始めている。20年秋に大統領選を控えるトランプ氏は、足元の株価下落にいらだちを強めており「ムニューシン財務長官らに相場の立て直しを指示した」(米財務省幹部)という。製造業の12月の景況感指数は約10年ぶりという悪化幅を記録しており、ムニューシン氏ら米政権の穏健派には貿易戦争の休戦で景気不安を和らげたい意向がある。

習政権も米国の追加関税の引き上げを阻止したい立場だ。対米輸出の先細り懸念で中国も製造業の景況感が急速に悪化しており、雇用調整圧力も強まってきた。中国当局は「クリスマス休暇中も米中交渉団は密接なやり取りを続けている」(商務省の高峰報道官)などと協議の進展を強調。企業や投資家の先行き不安の払拭に躍起になっている。

ただ、ライトハイザーUSTR代表やナバロ大統領補佐官(通商担当)ら対中強硬派は、中国の産業補助金や技術移転の強要など、貿易・投資ルールの抜本的な転換を迫っている。中国は次世代通信「5G」や人工知能(AI)、自動運転など軍事技術に直結するハイテク分野を国家レベルで育成。米国には産業スパイやサイバー攻撃などで「米国の技術が盗まれている」(ナバロ氏)と根深い不信感がある。

習政権は巨額補助金を投じてハイテク産業を育てる「中国製造2025」計画を掲げる。米中交渉筋には「同計画の見直しも含めて中国側が譲歩する」との楽観論が浮上するが、対中強硬派は「中国の制度改善を検証する仕組みが必要」と、安易な妥協を拒んでいる。

中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕された問題など、両国には対立の芽がいくつも残る。打開の道のりは極めて険しい。

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