2019年6月19日(水)

隗より始めよ(岩渕健輔)

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ラグビーW杯、最後の8カ月に欠かせぬ緻密な準備

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2019/1/7 6:30
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W杯までの残り8カ月のもう一つのカギが、本番を想定した緻密な準備である。ポイントはいくつかある。

1つ目はW杯のスケジュールの予行演習。15年W杯のときは本番と同じスケジュールの試合を前年までに組み、シミュレーションしていた。中3日で臨む1次リーグ2戦目を想定し、同じ試合間隔での強化試合も組んだ。

今大会の日本は、1次リーグで1週間ごとに1試合、4週連続で戦う。しかし、この日程での試合は16年秋以降、経験していない。サンウルブズも頻繁にメンバーを変えているため、スーパーラグビーを4週連続で戦った選手もそれほど多くない。

事前に細かくシミュレーション

1次リーグで最も重要な最後のスコットランド戦で力を出し切るため、何が必要なのか。選手の疲労などを事前に細かくシミュレーションすることが必要だ。

日本代表がスコットランド戦で力を出し切るため何が必要なのか=ロイター

日本代表がスコットランド戦で力を出し切るため何が必要なのか=ロイター

もうW杯までに4週連続のテストマッチはない。ならば、スーパーラグビーをうまく使い、主力選手を4週連続で起用するなどしておきたい。

2点目は、自国開催の重圧への備えである。国内で8万人の観衆を前に試合をしたことのある選手は誰もいない。日本のラグビー界にとって未体験の状況である。ビッグイベントが始まれば一気に注目が高まる日本のスポーツ文化を想定した準備もしておきたい。

3点目はレフリーを熟知しておくこと。前回大会は南アフリカ戦を吹くレフリーのジェローム・ガルセスさんを事前に日本に招待。強化試合の笛をお願いしたほか、代表合宿にも1週間ほど帯同してもらった。

テストマッチのレフリーを割り当てる国際統括団体ワールドラグビーと、2年前から良好な関係を築けていたことも効いたようだ。ガルセスさんの癖をよく知っていたことで、日本が南ア戦で犯した反則は極めて少なかった。

今回のチームは強豪国と多く戦ってきたうえ、スーパーラグビーでも世界のトップレフェリーの試合を経験しており、その点は追い風だ。あとは4月ごろにW杯各試合の担当レフリーが決まった後、どのような対策を打てるかだ。

最後に体調面。前回のチームには、海外のスーパーラグビーのクラブに加入している選手が6人いた。所属クラブでの出場機会や疲労度はばらばらで、彼らの体調を整える難しさがあった。今回は代表組のほぼ全員がサンウルブズでプレーしており、コントロールはしやすい。

一方、彼らをサンウルブズでどれだけ起用するかは難しい問題だ。多く試合をしすぎると、疲労が残ったままW杯を迎える危険性がある。かといって、休ませすぎるのも考えものだ。

前回大会の南アは、直前のスーパーラグビーで代表組の出場機会を制限していた。結果的にW杯の前半で調子が上がらず、日本に敗れる一因になった。

ニュージーランドも07年W杯で同様の出場制限をしたことが、準々決勝敗退の大きな要因とされた。逆に15年のニュージーランドはスーパーラグビーで代表組を多く使った結果、直後のW杯で優勝している。因果関係が証明されたわけではないが、今回の日本も参考になるところがあるだろう。

日本代表の土台は間違いなく強固になっている。後はW杯本番で力を出し切るための準備。残りの8カ月にかかっている。

(ラグビー7人制男女日本代表総監督)

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