2019年1月19日(土)

隗より始めよ(岩渕健輔)

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ラグビーW杯、最後の8カ月に欠かせぬ緻密な準備

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2019/1/7 6:30
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いよいよラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の年を迎えた。初の開催国として臨む日本代表は、着実に力をつけている。4年前と比べ、環境面でも恵まれている。あとは本番に向かうための最後の準備を確実にしておきたい。

日本が2018年11月に戦ったテストマッチ3試合では、目指す形が出せたシーンがいくつかあった。世界ランキング4位のイングランドとの対戦。最終的には敗れたが、前半は主導権を握って戦い、15―10のリードで折り返すことができた。

イングランド戦の前半、タックルを振り切りトライを決める中村(手前中央)=共同

イングランド戦の前半、タックルを振り切りトライを決める中村(手前中央)=共同

自陣からでもかなり積極的にパスをつないで攻撃したことが奏功した。ラックの周りでFWが短いパスを使って攻める形も機能。相手のタックルを外し、前進できる場面が多かった。

ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)が16年に就任して以来、取り組んできたのがキックを多用する戦術だった。互いの陣形が乱れたアンストラクチャーと呼ばれる状態をつくり、相手の隙を生み出すことが狙いだ。この戦術と、イングランド戦で見せたパス主体の戦い方という2本の柱ができつつあることは大きい。

選手層も厚みを増した。主力の負傷で出番をつかんだフッカー坂手淳史やCTB中村亮土ら、新しい選手が強豪国にも戦える力を示した。15年W杯前の日本はテストマッチで力を出し切れる選手が多くなかったが、今は40~50人いる。スーパーラグビーのサンウルブズで多くの選手が強豪クラブとしのぎを削ってきた成果だ。

信じられる武器持っているか

現代表は前回W杯のチームと比べ、選手の経験値や戦術の選択肢の豊富さで大きく勝っている。ただ、W杯で最後に大事になるのは「自分たちはここで勝つんだ」と信じられる武器を持っているかどうかである。

岩渕健輔氏

岩渕健輔氏

私がゼネラルマネジャーとして関わった前回大会の代表には、そうした武器があった。それは厳しい練習で鍛え上げたフィットネス(持久力)や、プレーの低さだった。特に、試合の最後の20分間になれば絶対に負けないという自信を持っていた。ウェールズやイタリアという強豪との試合の終盤で優勢に戦い、勝ちきった経験から生まれたものだった。

選手やジョセフHCの談話を聞いていると、今回のチームのよりどころは戦術的な部分になるのだろう。イングランド戦で機能した戦い方や、アンストラクチャーからの攻守の精度をどこまで上げられるか。そして、チーム全体がそこにどれだけ自信を持てるか。

日本は昨年6月にイタリアとのテストマッチ第1戦で完勝したが、強豪国の中では最も格下の相手である。本当の意味で自信になったとは言い切れないことを考えると、W杯までに戦う試合が大事になる。

フィジー、トンガ、米国と戦う7~8月のパシフィック・ネーションズカップやW杯の壮行試合となる南アフリカ戦は、そのための貴重な機会になる。また、サンウルブズで戦うスーパーラグビーの試合も重要になってくる。結果と試合内容の両面で、自信を積み上げておきたい。

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