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ラグビーW杯 輝き見逃せない

2019/1/5 6:30
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 五輪とサッカーワールドカップ(W杯)に次ぐスポーツイベントであるラグビーW杯が9月、初めて日本で開かれる。日本代表は前回大会で南アフリカから「史上最大の番狂わせ」と呼ばれる金星を挙げたが、今回は4年前に果たせなかった8強進出を目指す。(摂待卓、谷口誠)

■松島幸太朗 驚異の快足、飛躍の年に

スピード、ステップ、タックルに負けないパワーを駆使したアタックで観客を魅了する

スピード、ステップ、タックルに負けないパワーを駆使したアタックで観客を魅了する

ボールを持てば何かをおこしてくれる。日本代表でそんな期待を抱かせるのが、松島幸太朗(25、サントリー)だ。走りのスピード、変幻自在のステップ、激しいタックルに負けないパワー。いずれも世界基準の武器を駆使したアタックで観客を魅了する。

初出場だった前回2015年W杯イングランド大会では4戦すべてに先発も、ポジションはWTB。本職のFBには大活躍した五郎丸歩(ヤマハ発動機)がでんと構えていた。

今は最後尾の定位置を確保し、「FBの方が自由に動けるので、やりたいことはすごく増える。やりやすいという印象です」。2度目となるW杯では、まさに水を得た魚のようにフィールドを跳ね回るだろう。

キック多用の戦術のため、足技の改善にも取り組んだ

キック多用の戦術のため、足技の改善にも取り組んだ

新たなスキルも磨いている。ジェイミー・ジョセフHCはキックを多用する戦術のため、足技の改善に取り組んだ。「精度が良くなかったが、代表の攻撃コーチと毎回個別練習をやるようにしていたので、最近は安定してきた」と胸をはる。

昨年6月、日本が強豪のティア1国であるイタリアを破ったテストマッチ。だめ押しとなった最後のトライは、松島の絶妙なハイパントを味方が競ってマイボールにしたスクラムを起点に生まれたものだ。

一方、現代表の特徴である、積極的に前に出る防御システムについては「僕にはあっていない」と率直だ。昨年4月、スーパーラグビーのサンウルブズ―ブルーズ戦ではタックルミスを連発、後半早々に交代となった。

「今の防御はすれ違いのリスクがすごく高い。ただどこかで妥協しないといけないので、選手のコミュニケーションで改善したい」と話す。最後のとりでとしては相手を待ち構えて仕留めたい。どう折り合いをつけるか。守備面での成長も試される。

ジンバブエ人の父と日本人の母の間に生まれた。神奈川・桐蔭学園1年の時から全国高校選手権で活躍し、「超高校級」と騒がれた"ハーフアスリート"の先駆け。大器は日本の枠に収まらず、高校卒業後は南アフリカのクラブの育成組織に入った。今回のW杯後も、目が向くのは海外の大海原。「W杯で活躍することを前提に、欧州でやりたい」。飛躍の年にすると固く決意している。

■姫野和樹 非凡なパワー、世界に勝つ

密集戦で球を奪うプレーも向上。今や日本で最もボール奪取力がある一人

密集戦で球を奪うプレーも向上。今や日本で最もボール奪取力がある一人

パスが高めに浮く。体が伸びきったまま捕球した姫野和樹(24、トヨタ自動車)の前に全速力のタックラーが迫る。衝突。しかし、地に伏したのは相手の方で、体を痛めるおまけつき。世界の猛者が集うスーパーラグビーで昨年、こんな場面があった。

日本の選手には珍しくても、本人にはおなじみの光景だった。中学時代、体力自慢の教師と腕相撲。弾みで相手の腕を折った。野球などにも親しむ中でラグビーを選んだのも「人を吹っ飛ばすのが純粋に楽しかった」。日本代表でも海外の巨漢に当たっては、その体と心をへし折る。

187センチ、112キロは国際舞台では平凡。ただ、タックルされても倒れぬ体幹の強さは非凡だ。ボールを持って突進。倒されても瞬時に立って再前進する。接点で圧倒するからできる二枚腰。「姫野スペシャル」と呼べそうな技だ。

タックルされても倒れぬ体幹の強さが武器=共同

タックルされても倒れぬ体幹の強さが武器=共同

愛知・春日丘高時代から大器と目されたが、2017年、23歳で代表デビューした後の進化は特筆もの。密集戦で球を奪う汚れ仕事も向上。今や日本で最もボールの奪取力がある一人でもある。

「教えられたことを頭でイメージすると案外できてしまうタイプ」と言うが、急成長の陰には苦悩もあった。帝京大を経てトヨタ自動車に入った17年。新人ながら主将を任された。「チームを良くするために何もできない自分が悔しく、部屋で泣いていた」

毎日、ノートに悩みを書き付ける中で出した結論は「信頼されるようにまず体で示す」。練習は誰より激しく。地味な鍛錬も人一倍熱心に。周りの信用を勝ち得ただけでなく、体も変わった。体重が6キロ増え、体脂肪率は5%減。キレが増した。「何度失敗しても起き上がって行動したから成長できた」。W杯までの残り9カ月でどこまで伸びるか。底は知れない。

その大舞台には複雑な思いもある。18歳、初めての代表合宿で足を骨折し、1年半を治療に費やした。「ケガがなければ前回大会に出られたのかもって。(日本が勝った)うれしさと悔しさがあった」

雪辱の場が近づく。楕円球に出合った日と同じ思いが胸にある。「ラグビーの醍醐味のコンタクトプレーを率先してやりたい」。4年前の日本は身体能力の差を集団の鍛錬、工夫で埋めた。この秋は違う。個のパワーで世界に勝てる日本の選手がいる。満天下にそう知らしめる機会になる。

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