Wakabaさんの退職金デビュー(投信ブロガー)
ブログ「Eリタイア☆ときどき運用」を運営するWakabaさんは首都圏に住む(持ち家、住宅ローンなし)アラフィフの女性。事務職として長年勤めた会社を2017年にアーリーリタイア(早期退職)したのをきっかけに資産運用を始めた。「Wakaba」のハンドル名は、投資初心者であることから「若葉マーク」にちなんだもの。Wakabaさんに「退職金でデビューした資産運用」について聞いた。
アーリーリタイアで始めた資産運用
――ブログを始めたきっかけは何ですか。
「アーリーリタイアに関係するブログを読んでいたのですが、『退職してから資産運用を始めた』という人のブログは見かけませんでした。備忘録として、そしてひょっとしたら自分と同じような立場の人の役に立つかもしれないと思って、ブログを開設しました。退職のひと月くらい前のことです」
――早期退職を決めた理由を教えてください。
「退職前は体調を崩しがちでした。そんな時に上司から今後は女性も夜間勤務のある部署に配属されると言われたこともあり、健康を第一に考え、割増退職金がピークとなる年齢の内に辞めることにしました」
――資産運用を始めたのはどうしてですか。
「退職が決まってから、『これからは毎月の収入がなくなるのか。ぜいたくはしていないので今の生活は続けられそうだけど、物価が大きく上昇した時のインフレ対策はしておいた方がいいかな。その時は働くにも働けないかもしれないし』などと思い始めました」
「手持ちの金融資産はほとんどが、働いていた時の退職金を含む超低金利の預貯金です。会社の従業員持株会制度で毎月購入していた自社株もありましたが、比較的遅く加入したので少額で、現在は元本割れの塩漬け状態です。他の投資は会社の規則で短期売買等の制限があったので、面倒なため手掛けていませんでした」
「勧められるままに商品を購入するようなことはせずに情報収集して、自分で組み合わせを考えながら投資信託を選び、安眠できるような運用を始めました。『退職金デビューは危険。止めておけ』という意見が少なくないのを知り、えっそうだったのと思いました」
「つみップ」で学んだ「長期・積み立て・分散」投資の効用
――資産運用はどのように始めたのですか。
「退職金用定期預金には投信などを一緒に購入すると高金利になるタイプもありますが、組み合わせ投信の運用コストが高すぎると感じ、退職金用定期預金のみを利用するようにしました。その他に『個人向け国債』購入時のキャッシュバックキャンペーンにはオトク感があったので、投資してみました」
「投信は少額購入から始めました。最初は自腹を切らずにポイントや配当金、キャッシュバックの現金などを使って購入しました。今はだいぶ慣れ、ほぼ毎月積み立て投資しています。一括投資は性格的に向いてないのでしていません。関心を持った企業の個別株も少しずつ購入しています」
――資産運用の情報収集方法を教えてください。
「金融庁は積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の普及を目的に、個人投資家との意見交換会(通称:つみップ)を定期的に開催しています。その場で、色々役に立つことを教わりました」
「ブログやツイッターの情報を通じて『つみップ』のことを知り、すぐに参加の申し込みしてみたのです」
――どのような点を学びましたか。
「特に印象的なのは『長期・積み立て・分散』投資の効用です。自分がコントロールできるのは『運用コストと商品選び』であり、つみたてNISAの対象となるコストなどの条件をベースに投信選びをすれば、それほどコワイものではないと思えるようになりました」
「『つみップ』はゲストの選定など毎回趣向を凝らしており、販売会社や運用会社、著名ブロガーの方々の話を直接聞けるので、とてもためになります。参加者同士での知り合いもできました」
下がっても「ウキウキ」「晴れ晴れ」
――つみたてNISAを実際に活用しているのですか。
「いいえ。預貯金などの無リスク資産が大半なので、リスク資産の割合を増やしたくて、まずは年間の非課税枠の大きい一般NISAを利用することにしました。一般NISAを使って個別株にも投資してみたいですし」
「普段の買い物でも買った後に値段が下がるとガッカリするので、今のところ購入日を定めずに毎月、基準価格が安くなってきたなと思った時に手動で購入しています。一般NISAの非課税枠の残りが少なくなってきてからは、時価評価額が小さい投信を主に買い増しました。18年の非課税枠は11月に入ってすぐに使い切りました」
「投資総額がまだ少ないからですが、今は投信の基準価格が下がると、安く買えて『ウキウキ』『晴れ晴れ』とした気分でいられます。長期投資なので、遠い将来には基準価格は今より上がっている可能性が高いと考えているからです。こんな風に思えるのも『つみップ』のおかげかもしれません」
資産配分は世界の株式中心
――投信の資産配分はどうしていますか。
「預貯金や個人向け国債が大半なので、ある程度のリスクを取ってもいいと考えています。投信は株式で運用するタイプが中心です。最初は先進国株、新興国株、国内株の配分比率を5:3:2くらいに設定しましたが、今はきっちりと決めていません。リスクやリターンを数字で意識したことも特にないです」

「最近の資産配分を集計してみたところ、日本株、米国株、新興国株、先進国株と全世界株、それぞれが4分の1くらいになり、米国株が少し多めですがまずまずのようです(図A)」
――ファンド選びはどうしているのですか。
「信託報酬の低さや販売会社のポイントサービスなどの利便性を重視し、あとは自分の好みで決めています。指数連動型のインデックスファンドが中心で、アクティブ(積極運用)ファンドは1本だけ購入しています(図B)」
出口は意識せず
――資産運用の出口を意識しているのでしょうか。
「いくら増えたら、どのくらい減ったら資産運用を止めようとか、 今は特に意識していません。必要になったら、必要な分だけ資産を取り崩そうかなという感じで、資産運用で長生きへの備えはしておこうという考えです」

――若い世代へのアドバイスは何かありますか。
「もし投資が怖い場合は、まずは給料天引きで例えば1年で100万円などの預金をしてみるのがいいと思います。自分の経験では、預金残高が増えていくのが楽しくなり、無駄遣いも自然としなくなりました。そうなると利率にも敏感になってくるし、投資にお金を回してみようかなと思うようになるかもしれません」
「怖いままだったら無理に投資をする必要は無いですが、つみたてNISAのような長期投資の非課税制度も整ってきたので、若者が利用しないのはもったいないです」
「そして若者だけではなく、自分のようにこれまで投資をしてこなかった中高年齢層の方々も投資関連本を読むなどして情報を仕入れながら、少額からの投資やポイント活用の投資などから始めてみるといいかもしれません」
――ブログではどんな情報を発信していきますか。
「金融庁や運用会社主催のイベントに参加した感想をはじめ、退職金デビューしてからの運用内容を折に触れて、ブログで発信していきたいと思っています」
(QUICK資産運用研究所 聞き手は高瀬浩、小松めぐみ)