習主席「武力行使も選択肢」 米の台湾介入けん制
北京で演説「台湾は中国の一部」
【北京=永井央紀】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2日、北京で台湾問題について演説した。平和統一を目指すのが基本だとしたうえで「外部の干渉や台湾独立勢力に対して武力行使を放棄することはしない。必要な選択肢は留保する」と強調し、米国を念頭に台湾問題への介入を強くけん制した。
中国はこれまでも武力行使に言及してきたが、台湾への武器輸出推進を明記した「アジア再保証推進法」を成立させた米国に対して、改めて台湾政策の原則を強調した。

習氏の演説は台湾政策を武力解放から平和統一に転換した「台湾同胞に告げる書」の発表40年を記念した式典で行われた。10年前の胡錦濤(フー・ジンタオ)前国家主席の演説では「武力行使」に触れていない。
習氏は「長期にわたる政治的対立は両岸関係が安定しない根源であり、先送りできない」と述べ、早期統一を目指す方針を改めて表明。「中華民族の偉大な復興へのプロセスにおいて台湾同胞を欠くことはありえない」と訴えた。
「台湾は中国の一部であり、いかなる勢力も変えることはできない」とも主張。台湾問題で中国への揺さぶりを続けるトランプ米政権に対して、名指しを避けつつ介入しないよう求めた。
一方で「(台湾の同胞と)手を携えて平和統一の目標を実現する」と述べ、基本方針は平和的解決だと改めて明言。「平和統一に向けて一国二制度は最良の方法だ」とも指摘し、「国家主権と安全が確保される前提で、平和統一後も台湾同胞の社会制度や生活様式は十分に尊重し、私的財産や宗教信仰などの合法的権利も保障する」と訴えた。英国から返還後の香港で適用された一国二制度に言及し、台湾統一に向けた応用を示唆した。
統一後に対する台湾の懸念を払拭し、米国寄りに傾かないよう配慮したもようだ。