メイ英首相「違いを超え前進を」EU離脱案へ支持訴え
国民向けに新年のメッセージ
【ロンドン=中島裕介】英国のメイ首相は31日(日本時間1日午前)、国民に向けた新年の挨拶で「2019年は私たちの違いを超えて、ともに前進する年にしよう」と訴えた。英国の欧州連合(EU)離脱が3月末に迫るなか、英議会では英・EUの離脱案への反発が強く承認されるメドが立っていない。メイ氏はこれまで同様、年頭の挨拶でも自らの離脱案への支持を訴えたが、反対派を翻意できるかは見通せない状況だ。

メイ氏は挨拶で「あと数週間以内に(英議会の)議員は重要な決断を下す。議会が政府の離脱案を支持すれば英国は峠を越えることができる」と訴えた。離脱がEU域外とのビジネスチャンスを広げると指摘したうえで「英国の経済を強め、新しい雇用も生み出す」とメリットを強調した。
離脱案の採決は当初18年12月に予定されていたが与党の造反も含めた大差での否決が予想されたため、1月14日の週に延期した。EUへの政策決定に関与できないまま、EUルールに縛られ続ける恐れがある点に批判が集まっている。
メイ氏側は採決までにEUから少しでも譲歩を引き出し、反対派の議員を説得したい考え。だが英議会での了承が得られなければ、経済や国民生活に混乱を及ぼしかねない「合意なし離脱」になる可能性が高まる。
野党第1党・労働党のコービン党首も31日、新年のメッセージを公表しメイ首相の案を「離脱派・残留派双方にとって悪い合意だ」と批判した。