2019年1月19日(土)

米中首脳が電話協議 貿易交渉「進展」強調

米中衝突
中国・台湾
北米
2018/12/30 17:25
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【ワシントン=永沢毅、北京=高橋哲史】トランプ米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が29日、電話で協議した。両氏が直接話すのは1日に訪問先のブエノスアイレスで会って以来。異例の年末協議は、双方が貿易戦争の打開に向けた交渉の「進展」を強調する場となった。米中のそれぞれが国内の経済に不安を抱えるなか、動揺する市場を落ち着かせるねらいが透ける。

習近平主席(左)とトランプ大統領=AP

習近平主席(左)とトランプ大統領=AP

「長く、とてもよい協議だった」。トランプ氏は習氏との電話協議が終わると、すぐにツイッターで中国との貿易交渉に言及した。「もし合意が成立すれば、包括的であらゆる分野や争点を網羅したものになる。大きく進展しつつあるぞ!」

米中貿易戦争の激化を警戒して乱高下する金融市場を意識したのは間違いない。

中国共産党機関紙の人民日報によると、習氏は電話協議で「両国の関係は重要な段階にある」との認識を示した。そのうえで「ともに歩み寄ってウィンウィンかつ、世界の利益になる合意をできるだけ早くまとめたい」と述べた。人民日報(電子版)は30日、「中国と米国の共通認識は増え、差は縮まっている」との記事を配信した。

習氏は2019年が米中の国交樹立40周年であることにも触れた。呼応するように中国外務省の陸慷報道局長は30日、談話を発表した。「米中関係40年の進展は得がたいものであり、互いに戦略的な判断の誤りを防ぐべきである」と指摘し、米側に歩み寄りを求めた。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)は29日、米中が19年1月7日に北京で貿易協議の次官級会合を開くと報じた。この会合で一定の進展があれば、ワシントンで閣僚級の協議に格上げする可能性があるという。

米側が設定した貿易交渉の期限は19年3月1日だ。それまでに中国の知的財産保護やハイテク政策の修正などで合意できなければ、米国は中国からの輸入品2千億ドル(約22兆円)分にかける追加関税を10%から25%に引き上げる。

中国は1年で最も重要な政治イベントである全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を3月5日から開く。この直前に米国との協議が決裂し、中国製品にさらなる追加関税がかかる事態を招けば、習氏への批判が高まるのは必至だ。

こうした事態を避けるため、中国は矢継ぎ早に米国の要求に配慮した措置を打ち出している。

全人代の常務委員会は23日、外資の技術を行政手段で強制的に移転することを禁じる外商投資法案の審議を始めた。29日には、最高人民法院(最高裁)が19年1月から知的財産権をめぐる紛争を専門に扱う法廷の設置を発表した。

中国経済は減速懸念が強まっている。21日に閉幕した19年の経済運営方針を決める中央経済工作会議は「外部環境は複雑で厳しく、経済は下押し圧力に直面している」と率直に認めた。米国との貿易戦争をこれ以上、先鋭化させたくないのは習指導部の本音だ。

しかし、それに向けた米国への譲歩が国内で「弱腰」と受け止められれば、習氏の求心力に響きかねない。

中国共産党の指導部である政治局は25~26日に、党内のさまざまな問題を話し合う「民主生活会」を開いた。「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想を先頭に立って学び、貫徹する」。こう総括した会議のねらいは、米国との交渉本格化をにらみ、習氏の下での結束を確認することだったとみられる。

経済の先行きに不安を抱えるのはトランプ氏も同じだ。減税効果がはげ落ちる19年は、米国の経済も楽観できない。互いに弱みをみせずに、どこまで譲歩を引き出せるか。両首脳の駆け引きは始まったばかりだ。

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